環境・気候変動への対応
TCFD提言への対応
当行では、気候変動を含むサステナビリティを巡る課題への対応が重要な経営課題であるとの認識のもと、2023年4月に、社外取締役を含めた全役職員の関与のもと策定・公表した「七十七グループのマテリアリティ」において「気候変動・災害への対応」を七十七グループの重要課題として明記のうえ、取組みを強化するとともに、TCFD提言に沿った情報開示の充実を図っております。
ガバナンス
適切かつ十分なサステナビリティ推進管理を行うことを目的として、「サステナビリティ推進管理方針」を制定するとともに、頭取を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、サステナビリティ推進管理にかかる重要事項等を審議・報告のうえ、結果を経営戦略やリスク管理へと反映しています。
2023年度は「サステナビリティ委員会」を3回開催し、サステナビリティ経営の実践に向けた審議・報告を行い、その内容を取締役会へ報告することにより、取締役会がサステナビリティへの取組状況を監督する体制を確立しています。
戦略
当行ではシナリオ分析等を通じたリスクと機会の捕捉に努めるとともに、「SDGs実践計画」に基づき、リスクの最小化と機会の最大化に向けた対応を通じて、「気候変動・災害への対応」への取組みを強化していきます。
リスクおよびシナリオ分析
気候変動リスクについては、お客さまの事業への影響や当行の業務継続において想定されるリスクとして、リスクカテゴリー毎に以下のとおり「物理的リスク」と「移行リスク」を認識のうえ、リスクが顕在化した際の影響等について、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸に基づき分析を進めています。
区分 | 想定されるリスク | 時間軸 | ||
---|---|---|---|---|
短 | 中 | 長 | ||
物理的 リスク |
お客さまの営業拠点が自然災害で被災し、事業が停滞することによる信用リスクの発生 | 〇 | 〇 | 〇 |
自然災害に起因して不動産担保の価値が毀損することによる信用リスクの発生 | 〇 | 〇 | 〇 | |
当行の営業店舗等が自然災害で被災することによるオペレーショナル・リスクの発生 | 〇 | 〇 | 〇 | |
海面上昇によるお客さまの営業拠点浸水等に伴う事業撤退による信用リスクの発生 | 〇 | |||
移行 リスク |
気候変動に対応した規制や税制等が変更になり、お客さまの事業へネガティブな影響が及ぶことによる信用リスクの発生 | 〇 | 〇 | 〇 |
脱炭素関連技術の失敗や市場の変化に伴い、お客さまの事業へネガティブな影響が及ぶことによる信用リスクの発生 | 〇 | 〇 | 〇 | |
気候変動への対応や情報開示が不足した場合の当行の風評リスクの発生 | 〇 | 〇 | 〇 |
<シナリオ分析>
「物理的リスク」、「移行リスク」について、以下のとおりそれぞれのリスクが高まるシナリオを想定し、リスクが顕在化した際の影響について分析を実施しております。
物理的リスク |
移行リスク |
|
---|---|---|
シナリオ |
IPCC(気候変動に関する政府間パネル) 4℃シナリオ(RCP8.5) |
NGFS(気候変動リスクにかかる金融当局ネットワーク) Net Zero 2050 |
分析対象 |
宮城県内の事業性与信 |
電力・ユーティリティセクター |
分析手法 |
水害による浸水深に応じた担保毀損 および事業停滞に伴う財務内容の悪化が与信費用に与える影響 |
炭素税導入による課税負担や既存設備の座礁資産化に伴う財務内容の悪化が与信費用に与える影響 |
分析期間 |
2050年まで |
2050年まで |
分析結果 |
与信費用が30億円程度増加 |
与信費用が100億円程度増加 |
<炭素関連資産>
2023年度の当行の貸出金に占めるエネルギー・ユーティリティセクター向けエクスポージャーの割合は3.5%です(ただし、水道事業、独立系電力および再生可能電力事業を除く)。
機会
当行では、自社のカーボンニュートラルに向けた取組みは勿論のこと、Scope1、2および3にかかる算出結果を踏まえ、お客さまの脱炭素に向けたお取組みを長期かつ持続的に支援することが重要であると認識しております。
お客さまの脱炭素へのお取組みにかかる支援として、関連するコンサルティング機能や脱炭素にかかる投融資等の金融仲介機能(トランジションファイナンス)に関する社会的な要請が高まることにより、新たなビジネス機会が発生・拡大していくものと認識しております。
気候変動対応にかかる「機会」につきましては、「リスク」と同様、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸を認識しながら対応を行ってまいります。
項番 | 想定される機会 | 時間軸 | ||
---|---|---|---|---|
短 | 中 | 長 | ||
(1) | 省エネルギー化および製造業等の燃料・原料転換に向けた、研究開発投資・設備投資等にかかる投融資機会の拡大 | 〇 | 〇 | 〇 |
(2) | 再生可能エネルギーの主力電源化に伴う発電設備への投融資機会の拡大 | 〇 | 〇 | |
(3) | 事業者等における脱炭素化に向けた戦略策定やリスクコントロールにかかるコンサルティングニーズの増加 | 〇 | ||
(4) | 事業者等の脱炭素関連の新事業開始にかかる投融資機会の拡大 | 〇 | 〇 | |
(5) | 環境保全に配慮した運用商品による投資ニーズの拡大 | 〇 | 〇 |
<主な取組み>
-
- サステナビリティ関連融資商品の提供
77SDGs支援ローン(2023年度実績:14億円)
77Seven Goals(2023年度実績:55億円)
77サステナビリティ・リンク・ローン(2023年度実績:132億円) - 国際原則等に基づく「77ポジティブ・インパクト・ファイナンス」導入(2024年3月)
- 宮城県、仙台市と連携した「77SDGs私募債(寄付型/カーボン・オフセットコース)」導入(2024年4月)
- サステナビリティ関連融資商品の提供
-
- 再生可能エネルギー関連融資の実行(2023年度実績:79億円)
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- 各種コンサルティングに関するサービスの提供等
SDGs支援サービス(2023年度実績:83件)
株式会社イトーキとの業務提携によるカーボンクレジット活用支援業務の開始(2023年12月)
取引先のGHG排出量の算定を行う「77脱炭素ナビゲーター」導入(2024年1月)
- 各種コンサルティングに関するサービスの提供等
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- 今後のビジネス機会拡大に向けた取組み
ファイナンスドエミッション上位先等に対するエンゲージメントの強化
- 今後のビジネス機会拡大に向けた取組み
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- 取引先の運用商品の拡充
「77オープン型グリーン外貨定期預金」
- 取引先の運用商品の拡充
リスク管理
- 当行では、気候変動に起因する「物理的リスク」や「移行リスク」が、将来的に大きな財務的影響を及ぼす可能性があることを認識しています。
- 当行では、「物理的リスク」・「移行リスク」の顕現化による自己資本の健全性への影響等について、気候変動以外の「信用リスク」や「市場リスク」の顕現化とあわせたストレステストの実施により定期的に検証を実施しています。
- 当行では環境・社会に負の影響を与える恐れのある事業等に対して、「特定事業等に対する融資方針」を策定しています。
指標と目標
七十七グループは、2023年度より気候変動への更なる対応強化を図るため、CO2排出量の削減目標にかかるKPIを、「2030年度までのカーボンニュートラル実現を目指す」としております(対象:Scope1,2)。
2023年度のCO2排出量は、2013年度比49.8%削減しており、省エネ設備の導入等による排出量削減に向けた取組みを実施しております。
<Scope1および2>
スクロールできます
計測項目 | 2013年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|---|---|
Scope1 (灯油、A重油等、但しガソリンは除く) |
1,894 | 1,600 | 1,483 | 1,185 | 1,138 |
Scope2 (電気、地域温水) |
14,901 | 10,597 | 8,848 | 8,079 | 7,295 |
当行合計 (Scope1+2注) |
16,795 | 12,197 | 10,331 | 9,264 | 8,433 |
(2013年度比削減率) | ― | ▲27.3% | ▲38.5% | ▲44.8% | ▲49.8% |
- 上記は「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」に基づく定期報告書における当行単体でのCO2排出量を記載しており、再生可能電力利用分についてはCO2排出量を「0」として取り扱っています。
<Scope3>
分類 | 排出量(単位t-CO2) | |
---|---|---|
Scope3合計 | 8,535,613 | |
カテゴリ6(出張) | 494 | |
カテゴリ7(雇用者の通勤) | 1,159 | |
カテゴリ15(投融資先) | 8,533,960 |
- Scope3の算定には、環境省より発行されている「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver2.5)」「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(ver3.4)」を使用しています。
- 開示している排出量等につきましては、今後算定対象範囲の拡大、算定方法の変更や使用データの精緻化等に伴い、変動する可能性があります。
- お取引における業種別・地域別のCO2排出量
No | 業種分類 | 当行に帰属する CO2排出量(注2) (単位:t-CO2) |
---|---|---|
1 | 電力ユーティリティ | 2,040,693 |
2 | 資本財 | 1,607,857 |
3 | 建設資材 | 653,992 |
4 | 加工食品・加工肉 | 481,110 |
5 | 化学 | 241,229 |
6 | トラックサービス | 226,051 |
7 | 石油およびガス | 210,061 |
8 | 金属・鉱業 | 194,654 |
9 | 製紙・林業製品 | 135,406 |
10 | 不動産管理・開発 | 127,233 |
11 | 自動車および部品 | 65,789 |
12 | 農業 | 55,833 |
13 | 鉄道輸送 | 20,697 |
14 | 海上輸送 | 19,087 |
15 | 旅客空輸 | 11,641 |
16 | 飲料 | 8,267 |
17 | 航空貨物 | 1,392 |
18 | 石炭 | 772 |
19 | その他 | 2,432,197 |
― | 合計 | 8,533,960 |
No | 業種分類 | 当行に帰属する CO2排出量(注2) (単位:t-CO2) |
---|---|---|
1 | 資本財 | 1,146,428 |
2 | 電力ユーティリティ | 831,036 |
3 | 加工食品・加工肉 | 387,382 |
4 | トラックサービス | 153,573 |
5 | 石油およびガス | 137,949 |
6 | 建設資材 | 118,873 |
7 | 不動産管理・開発 | 70,191 |
8 | 化学 | 61,243 |
9 | 農業 | 42,018 |
10 | 金属・鉱業 | 37,431 |
11 | 製紙・林業製品 | 19,286 |
12 | 自動車および部品 | 17,246 |
13 | 飲料 | 6,354 |
14 | 海上輸送 | 5,714 |
15 | 航空貨物 | 1,383 |
16 | 鉄道輸送 | 1,079 |
17 | 旅客空輸 | 623 |
18 | 石炭 | ― |
19 | その他 | 1,466,480 |
― | 合計 | 4,504,289 |
- ファイナンスドエミッションの略であり、お取引先のCO2排出量のうち当行に帰属する排出量を指します。
- 計測対象は当行投融資額のうち、「国内公共債投資」、「外国証券投資」、「自治体向け融資」、「非居住者向け融資」、「個人向け融資」を除いた金額です。