環境・気候変動への対応

TCFD提言への対応

当行では、気候変動を含むサステナビリティを巡る課題への対応が重要な経営課題であるとの認識のもと、2023年4月に、社外取締役を含めた全役職員の関与のもと策定・公表した「七十七グループのマテリアリティ」において「気候変動・災害への対応」を七十七グループの重要課題として明記のうえ、取組みを強化するとともに、TCFD提言に沿った情報開示の充実を図っております。

ガバナンス

当行では、サステナビリティ推進管理に関する基本方針を定め、適切かつ十分なサステナビリティ推進管理を行うことを目的として、2022年1月に「サステナビリティ推進管理方針」を制定するとともに、頭取を委員長とする「サステナビリティ委員会」を2022年7月に設置し、気候変動を含むサステナビリティ推進管理にかかる重要事項等を審議・報告のうえ、結果を経営戦略やリスク管理へと反映することとしております。

2022年度は、「サステナビリティ委員会」を5回開催し、サステナビリティ推進管理体制強化に向けた審議等を実施するとともに、その内容について取締役会へ報告いたしました。

また、2021年10月以降、年度毎に「SDGs実践計画」を策定のうえ、気候変動を含むSDGsへの取組状況を定期的に取締役会に報告し、取締役会が監督する体制を構築しております。更に、気候変動を含む環境・社会課題解決に向けた取組みをグループ全体で推進するにあたり、総合企画部内に「サステナビリティ推進室」を設置し、適切に管理する体制を整えており、施策推進の実効性を確保しております。

戦略

当行ではシナリオ分析等を通じたリスクと機会の捕捉に努めるとともに、「SDGs実践計画」等に基づき、リスクの最小化と機会の最大化に向けた対応を通じて、「気候変動・災害への対応」について取組みを強化してまいります。

リスクおよびシナリオ分析

気候変動リスクについては、お客さまの事業への影響や当行の業務継続において想定されるリスクとして、以下のとおり「物理的リスク」と「移行リスク」を認識のうえ、リスクが顕在化した際の影響等について、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸を認識しながら分析を進めております。

区分 想定されるリスク 時間軸
物理的
リスク
お客さまの営業拠点が自然災害で被災し、事業が停滞することによる信用リスクの発生
自然災害に起因して不動産担保の価値が毀損することによる信用リスクの発生
当行の営業店舗等が自然災害で被災することによるオペレーショナル・リスクの発生
海面上昇によるお客さまの営業拠点浸水等に伴う事業撤退による信用リスクの発生    
移行
リスク
気候変動に対応した規制や税制等が変更になり、お客さまの事業へネガティブな影響が及ぶことによる信用リスクの発生
脱炭素関連技術の失敗や市場の変化に伴い、お客さまの事業へネガティブな影響が及ぶことによる信用リスクの発生
気候変動への対応や情報開示が不足した場合の当行の風評リスクの発生
<シナリオ分析>

「物理的リスク」、「移行リスク」について、以下のとおりそれぞれのリスクが高まるシナリオを想定し、リスクが顕在化した際の影響について分析を実施しております。

【シナリオ分析結果】
物理的
リスク
  • IPCC(気候変動に関する政府間パネル)4℃シナリオ(RCP8.5)に基づき、宮城県内の不動産担保物件を対象として、ハザードマップ等を参照のうえ、令和元年の台風19号と同等規模の風水害が発生した場合における担保価値への影響を地域別(市区町村別)に分析いたしました。
  • 2050年までの気温上昇を考慮した分析の結果、地域別の担保価値が最大で100億円程度減少する見込みとなりました。
移行
リスク
  • NGFS(気候変動リスクにかかる金融当局ネットワーク)Below2℃シナリオに基づき、電力・ユーティリティセクターに該当する与信先を対象として、炭素税導入による課税負担や既存設備の座礁資産化に伴う財務内容の悪化が与信費用に与える影響について分析いたしました。
  • 2050年までを対象とした分析の結果、与信費用が最大で94億円程度増加する見込みとなりました。
<炭素関連資産>

当行の貸出金に占めるエネルギー・ユーティリティセクター向けエクスポージャーの割合は3.6%です(ただし、水道事業、独立系電力および再生可能電力事業を除く)。

機会

当行では、自社のカーボンニュートラルに向けた取組みは勿論のこと、Scope1、2および3にかかる算出結果を踏まえ、お客さまの脱炭素に向けたお取組みを長期かつ持続的に支援することが重要であると認識しております。

お客さまの脱炭素へのお取組みにかかる支援として、関連するコンサルティング機能や脱炭素にかかる投融資等の金融仲介機能(トランジションファイナンス)に関する社会的な要請が高まることにより、新たなビジネス機会が発生・拡大していくものと認識しております。

気候変動対応にかかる「機会」につきましては、「リスク」と同様、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸を認識しながら対応を行ってまいります。

項番 想定される機会 時間軸
(1) 省エネルギー化および製造業等の燃料・原料転換に向けた、研究開発投資・設備投資等にかかる投融資機会の拡大
(2) 再生可能エネルギーの主力電源化に伴う発電設備への投融資機会の拡大  
(3) 事業者等における脱炭素化に向けた戦略策定やリスクコントロールにかかるコンサルティングニーズの増加    
(4) 事業者等の脱炭素関連の新事業開始にかかる投融資機会の拡大  
(5) 環境保全に配慮した運用商品による投資ニーズの拡大  
<ビジネス機会に対する主な取組内容>
  1. サステナビリティ関連商品の導入
    1. 国際原則等に基づくサステナビリティ・リンク・ローン等8商品導入
    2. SDGs定型目標型融資「77Seven  Goals」の導入
  2. 再生可能エネルギー関連融資の実行(実績:461件/2,091億円)
  3. 各種コンサルティングに関するサービスの導入等
    1. SDGs支援サービスの提供(申込実績:214件)
    2. CO2排出量可視化サービス紹介業務の開始(株式会社e−dashとの業務提携)
    3. 基幹系システム「MEJAR」の共同運営行等6行にて「MEJARサステナビリティソリューション連携」のネットワークを構築し、サステナビリティ関連商品・サービスの高度化に向けた取組みを開始
  4. 今後のビジネス機会拡大に向けた取組みの開始
    1. 事業性評価への取組みをサステナビリティの観点から見直し
    2. ファイナンスドエミッションの試算を通じたGHG多排出企業向けのエンゲージメントの開始
  5. お取引先の運用商品の拡充
    • 77オープン型グリーン外貨定期預金およびSDGs関連の投資信託商品の導入

リスク管理

  • 当行では、気候変動に起因する「物理的リスク」や「移行リスク」が、将来的に大きな財務的影響を及ぼす可能性があることを認識しております。
  • 当行では、リスク管理に関する規定の改正等を通じ、気候変動に関するリスクを適切に捕捉・検証するための態勢整備を進めるとともに、定期的なシナリオ分析やストレステスト等を通じて、「物理的リスク」・「移行リスク」の顕現化による自己資本の健全性や財務への影響、信用リスクを中心とした他のリスクカテゴリーへの波及(※)について、総合的な分析・検証を実施しております。
    • デフォルト率(PD)やデフォルト時損失率(LGD)の上昇に伴う信用リスク資本の増加、有形固定資産の毀損に伴うオペレーショナル・リスク相当額(内部損失)の増加等
  • 当行では「特定事業等に対する融資方針」を定めており、環境・社会に負の影響を与える恐れのある事業等に対して融資に取り組まないこととしております。

指標と目標

  • 七十七グループは、2023年度より気候変動への更なる対応強化を図るため、CO2排出量削減にかかるKPIを「2013年度比で46%減」から上方修正し、「2030年度までのカーボンニュートラル実現を目指す」こととしております(対象:Scope1および2)。
    なお、2022年度のCO2排出量は、2013年度比44.8%削減しております。

<Scope1および2>

(t-CO2)

スクロールできます

計測項目 2013年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
Scope1
(灯油、A重油等、但しガソリンは除く)
1,894 1,638 1,600 1,483 1,185
Scope2
(電気、地域温水)
14,901 10,689 10,597 8,848 8,079
当行合計
(Scope1+2注)
16,795 12,327 12,197 10,331 9,264
CO2排出量(当行合計)の削減量
(2013年度対比)
▲4,468 ▲4,598 ▲6,464 ▲7,531
CO2排出量(当行合計)の削減率
(2013年度対比)
▲26.6% ▲27.3% ▲38.5% ▲44.8%
  1. 上記は「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」に基づく定期報告書における当行単体でのCO2排出量を記載しており、再生可能電力利用分についてはCO2排出量を「0」として取り扱っております。

<Scope3>

分類 排出量(単位t-CO2)
Scope3合計 10,013,332
  カテゴリ6(出張) 524
カテゴリ7(雇用者の通勤) 1,212
カテゴリ15(投融資先) 10,011,596
  1. Scope3の算出には、環境省より発行されている「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン (ver.2.5)」、「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(Ver.3.3)」を使用しております。
  2. 開示している排出量等につきましては、今後算出対象範囲の拡大、算出方法の変更や使用データの精緻化等に伴い、変動する可能性があります。
  • お取引における業種別・地域別のCO2排出量
当行投融資先全体におけるFE(注1)
No 業種分類 当行に帰属する
CO2排出量(注2)
(単位:t-CO2)
1 電力 2,131,840
2 金属・鉱業 921,391
3 飲料・食品 790,957
4 化学 681,057
5 建築資材・資本財 667,057
6 陸運 384,685
7 製紙・林業 228,000
8 自動車 177,089
9 不動産管理・開発 144,234
10 石油・ガス 101,396
11 海運 13,762
12 農業 11,926
13 空運 1,480
14 石炭
15 その他 3,756,722
合計 10,011,596
宮城県内事業者さまへの投融資にかかるFE
No 業種分類 当行に帰属する
CO2排出量(注2)
(単位:t-CO2)
1 電力 908,777
2 金属・鉱業 445,853
3 飲料・食品 152,880
4 化学 145,023
5 建築資材・資本財 135,861
6 陸運 131,520
7 製紙・林業 73,170
8 自動車 65,534
9 不動産管理・開発 33,019
10 石油・ガス 19,857
11 海運 8,816
12 農業 4,674
13 空運
14 石炭
15 その他 2,371,756
合計 4,496,741
  1. ファイナンスドエミッションの略であり、お取引先のCO2排出量のうち当行に帰属する排出量を指します。
  2. 計測対象は当行投融資額のうち、「国内公共債投資」、「外国証券投資」、「自治体向け融資」、「非居住者向け融資」、「個人向け融資」を除いた金額です。
  • Scope3算出結果に基づき、投融資先のお取引先における温室効果ガス排出量の削減に向け、エンゲージメントとソリューションの提供を進めてまいります。
  • 気候変動に関連するリスクの低減と機会の捕捉にかかる指標と目標として、以下のKPIを設定しております。
    サステナブルファイナンス累計実行額:2030年度目標1.2兆円(2022年度実績:4,257億円)