資産運用2027年開始!こども支援NISAとは?制度内容を解説。活用シミュレーションも

2027年1月より、18歳未満の子どもが利用できる「こども支援NISA」が始まります。かつてのジュニアNISAは「18歳まで原則引き出し不可」という制約から利用が広がりませんでしたが、新制度ではこの点が見直されています。

こども支援NISAでは、1年あたり60万円、生涯で最大600万円を上限とする枠組みで、12歳以降は一定の条件を満たせば引き出しも可能です。そのため、子どもの進学費用や、将来に向けた資産づくりに活用できる制度として、関心が高まっています。

本記事では、こども支援NISAの制度概要からメリット、具体的な活用術、シミュレーションまでわかりやすく解説します。

金子賢司

【執筆・監修】
金子賢司

CFP資格所有(FP1級と同等)
東証一部上場企業(現在は東証スタンダード市場)で10年間サラリーマンを務める中、金融に興味を持ち、資産運用やローンなどの勉強を始める。
その後、生命保険会社、損害保険会社での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。現在は、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。

こども支援NISAとは?制度の概要と背景

NISAは小額投資非課税制度のことで、運用益が非課税になる制度です。こども支援NISAは、生まれたばかりの0歳児から17歳までを対象とした制度です。

2023年末で役目を終えたジュニアNISAの反省点を踏まえ、利便性を高めた設計となっています。ここでは制度の仕組みと、導入の背景を整理します。

こども支援NISA制度の概要

こども支援NISAは、18歳未満の子どもを対象とした少額投資非課税制度です。2025年12月の税制改正大綱において制度の導入が決定し、2027年1月1日にスタートする予定です。

制度の基本的な内容は以下のとおりです。

項目 内容
対象年齢 0歳~17歳(1月1日時点で18歳未満)
年間投資枠 60万円
非課税保有限度額 600万円
投資対象商品 つみたて投資枠の対象商品のみ
非課税期間 無期限
引き出し 12歳になれば一定条件のもとで対応
開始時期 2027年1月1日
成人後 成人NISAのつみたて投資枠に自動移行

制度創設の背景

金融庁は、こども支援NISAの制度趣旨について「次世代の資産形成を促進し、長期・安定的な投資を通じて、大学進学等、成人後のライフイベントに伴う必要資金を備えられる制度」と説明しています。

この制度は、2023年末に廃止されたジュニアNISAの後継として位置づけられています。ジュニアNISAは2016年に開始されたものの、口座数は約99万口座(2023年3月末時点)にとどまり、一般NISA口座数の約1,090万口座と比較すると普及していたとはいえないでしょう。

その主な原因は「18歳まで原則引き出し不可」という制限にありました。子どもの教育費は中学進学や高校入学など18歳より前に必要になるケースも多く、この制限が利用のハードルとなっていたのです。

一方、こども支援NISAでは、この課題に対応するため、12歳以降であれば一定の条件のもとで資金を引き出せる仕組みが採用されています。

ジュニアNISAとの違い

まず、新旧制度の違いを整理しておきましょう。ジュニアNISAでは個別株を含む幅広い商品に投資できましたが、こども支援NISAは「つみたて投資枠」の対象商品に絞られています。

子どもの資産づくりにおいて、比較的値動きを抑えた商品で運用を後押しする狙いがあると考えられます。

  こども支援NISA ジュニアNISA(2023年末で廃止)
年間投資枠 60万円 80万円
非課税保有限度額 600万円 400万円(80万円×5年)
投資対象商品 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 上場株式・投資信託等
非課税期間 無期限 5年間
引き出し 12歳以降、条件付きで可能 18歳まで原則不可

つみたて投資枠の対象商品の特徴

こども支援NISAで購入できるのは、NISAの「つみたて投資枠」と共通の商品ラインナップです。金融庁の基準をクリアした投資信託のみが対象となっており、コツコツ積み立てながら分散投資を行うのに向いた商品が揃っています。

対象商品の主な要件は以下のとおりです。

  • 販売手数料がゼロ(ノーロード)
  • 信託報酬が一定水準以下
  • 信託契約期間が無期限または20年以上
  • 毎月分配型でないこと
  • デリバティブ取引を用いた一定の投資信託でないこと

これらの要件を満たし、金融庁に届け出された投資信託のみが対象となります。令和8年度税制改正により、債券中心の投資信託もつみたて投資枠の対象商品に追加される予定です。

こども支援NISAのメリット

こども支援NISAには、子どもの将来に向けた資産づくりを支援する仕組みが整っています。ジュニアNISAで課題となっていた点が改善されており、使い勝手が向上しました。

運用益が非課税になる

こども支援NISAを活用する利点は、運用益が非課税になることです。一般的な課税口座では、配当や売却益に対して20.315%が源泉徴収されますが、こども支援NISAではこの負担がありません。

仮に18年間運用して100万円の利益が生じた場合、課税口座であれば約20万円が差し引かれますが、こども支援NISAでは全額が手元に残ります。

非課税期間が無期限

ジュニアNISAでは非課税で運用できる期間が5年間に限られていましたが、こども支援NISAには期間の制限がありません。子どもが18歳になるまでの長期運用でも、非課税のメリットを受け続けられます。

さらに、18歳に達すると、保有資産はそのまま成人向けNISA口座へ引き継がれるため、成人後も継続して非課税で運用を続けることが可能です。

12歳以降は引き出しが可能

ジュニアNISAでは18歳まで原則引き出しができませんでしたが、こども支援NISAでは12歳以降であれば、子ども本人の同意があれば引き出しが可能です。

12歳以上であれば、子どもの同意を得たうえで、親権者等が払出しの申出を行うことができます。中学や高校への進学時など、成人前に必要な資金にも対応しやすい設計といえるでしょう。

複利効果を長期間活かせる

0歳から運用を始めれば、18年という時間をかけて利益が利益を生む効果を活用できます。毎月の積立額が少額であっても、時間を味方につけることで着実に資産を育てられる可能性があります。

こども支援NISAの活用術

こども支援NISAは、12歳以降の引き出しや18歳以降のNISA移行など、柔軟な仕組みが特徴です。ここでは、制度を活かした具体的な活用術をご紹介します。

中学進学時の教育費にあてる

こども支援NISAは12歳以降に引き出しが可能なため、中学進学時の教育費に充てることができます。

文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」によると、中学校3年間にかかる学習費総額は以下のとおりです。

区分 3年間の学習費総額
公立中学校 約162.7万円
私立中学校 約468.0万円

公立中学校でも3年間で約163万円、私立中学校では約468万円の教育費がかかります。教育費は必要な時期の予測がつきやすいので、効率的に準備することが可能です。

出典:文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」

一部を取り崩して残りで運用を続ける

NISAでは、保有商品を売却すると、その取得価額分の非課税保有限度額が翌年に復活する仕組みがあります。こども支援NISAでも同様の仕組みが適用される場合、一部を取り崩しても残りの資産で運用を継続できます。

例えば、0歳から12年間、毎月3万円を年利5%で積み立てた場合のシミュレーションを考えてみましょう。

  • 元本:432万円(3万円×12か月×12年)
  • 12年後の評価額:約586万円(年利5%で複利運用した場合の試算)

仮に、中学進学時に私立中学校3年分の学費として約470万円を取り崩しても、約116万円は運用を継続できます。取り崩した後も年間60万円の範囲内で積立を再開すれば、大学入学までの6年間で新たな資産形成を目指すという使い方もできます。

※上記は一定の利回りを仮定した試算であり、実際の運用成果を保証するものではありません。また、制度の詳細は2026年中に発表予定です。

児童手当を積立に活用する

児童手当を活用してこども支援NISAで積立を行う方法も考えられます。児童手当は0歳から2歳が月1万5,000円、3歳以降が月1万円(第3子以降は月3万円)支給されます。

児童手当をそのまま積立に回せば、家計から追加の支出をせずに子どもの資産形成を進められます。

学資保険の代わりとして

学資保険は、低リスクで子どもの教育費を準備できる商品ですが、利回りが低い傾向があります。こども支援NISAは、投資信託で運用するため、元本割れリスクはありますが学資保険よりも効率的に教育費を増やせる可能性があります。

投資信託は元本割れリスクがあり、これをゼロにすることはできませんが、長期・積立・分散投資の組み合わせでリスクを抑えた運用が可能です。

老後を見据えた「超長期運用」

NISAは18歳からスタートできますが、こども支援NISAは0歳から始められます。また18歳以降は、NISAに移行(予定)であることから、実質、0歳から老後資金の準備をすることができます。超長期運用をすることで、高い長期投資の効果を得られるでしょう。

仮に毎月1万円を60年間、利回り3%で投資し続けた場合、理論上は元本720万円が約2,000万円に増える計算です。

【関連記事】
NISAは全世代対象になる?未成年の口座開設が可能になったときの活用法

世帯全体でこども支援NISAを活用する恩恵と注意点

こども支援NISAは、親や祖父母が資金を出して子どもの口座で運用するケースも考えられます。その際に知っておきたい贈与税のルールと、家族全体で非課税枠を活用する恩恵を解説します。

年間60万円は贈与税の基礎控除内

親や祖父母が子どものこども支援NISA口座に資金を入れる場合、その資金は「贈与」にあたります。贈与税は、1年間に受け取った財産の合計が110万円以下であれば課税されません。

年間投資枠は60万円のため、他に贈与がなければ基礎控除の範囲内に収まります。

ただし、注意が必要なのは、年間の贈与額は「受け取る側」で合算される点です。こども支援NISAへの60万円とは別に、お年玉や祝い金などで50万円以上を受け取ると、合計が110万円を超え、超過分に贈与税がかかる可能性があります。

家族全体の非課税投資枠を最大化

NISAの年間投資枠は360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)、非課税保有限度額は1,800万円です。こども支援NISAを活用すれば、子ども1人につき年間60万円、非課税保有限度額600万円が加わり、家族全体の非課税投資枠を拡大できます。

例えば、夫婦と子ども1人の3人家族の場合、夫婦それぞれの新NISA枠(年間360万円×2人=720万円)に加え、子どものこども支援NISA枠(年間60万円)が加わり、世帯全体で年間780万円の非課税投資が可能になります。

非課税保有限度額も、夫婦で3,600万円、子ども分の600万円を合わせて4,200万円まで拡大します。

このように、家族全体で考えれば、より多くの資金を非課税で運用できます。

シミュレーション:0歳から18年間積み立てた場合

こども支援NISAで積立投資を行った場合の試算を紹介します。

※いずれのケースも一定の利回りを仮定した試算であり、実際の運用成果を保証するものではありません。

【0歳から18歳まで積み立てた場合(利回り5%の場合)】

毎月の積立額 元本(18年) 将来の運用資産額 運用益
1万円 216万円 約345万円 約129万円
2万円 432万円 約691万円 約259万円

毎月1万円の積立でも、18年間続けることで元本の約1.6倍に成長する可能性があります。

毎月2万円であれば、非課税保有限度額600万円に近い運用が可能です。毎月3万円であれば、16年8ヶ月継続すれば、非課税保有限度額を使い切ることができます。

【運用利回り別シミュレーション(毎月2万円の場合)】

毎月の積立額 元本(18年) 将来の運用資産額 運用益
3% 432万円 約570万円 約138万円
5% 432万円 約691万円 約259万円
7% 432万円 約842万円 約410万円

同じ投資額でも、利回りによって運用成果に差が出ることがわかります。長期投資では、利回りの違いが複利効果によって拡大するため、商品選びも重要なポイントになります。

ただし、投資におけるリスクとリターンは表裏一体の関係にあるため、利回りが大きい商品は万が一のときの下落幅も大きくなる傾向がある点には注意が必要です。

【12歳から積み立てを始めた場合(年利5%)】

毎月の積立額 元本(6年) 将来の運用資産額 運用益
3万円 216万円 約250万円 約34万円
5万円 360万円 約417万円 約57万円

12歳からでも、大学入学までの6年間で資産形成を始められます。運用期間が短いため運用益は控えめですが、18歳以降は成人NISAに移行して運用を継続できます。

こども支援NISAの注意点

こども支援NISAにはメリットが多い一方で、投資である以上、注意すべき点もあります。制度を活用する前に押さえておきましょう。

投資なので元本保証はない

こども支援NISAは投資を通じて資産を育てる仕組みであり、銀行預金のように元本が保証されているわけではありません。投資信託の価格は市場環境によって日々変動するため、購入時より値下がりする場合もあります。

時間をかけて少しずつ積み立て、投資先を分散することでリスクの軽減が期待できますが、損失の可能性がゼロになるわけではありません。運用を始める前に、この点を認識しておくことが大切です。

【関連記事】
新NISAで損切りはしないほうがいい?目安やメリット・デメリットを紹介!

売却のタイミングを自分で決める必要がある

いつ売却するかの判断はご自身で行う必要があります。教育費が必要になるタイミングを見据えて、計画的に運用することが重要です。

一般的に、資金が必要になる時期が近づいたら、徐々にリスクの低い商品に切り替えるなどの対応を検討するとよいでしょう。

損益通算ができない

通常の課税口座では、ある口座で損失が出ても、別の口座で得た利益と相殺して税負担を軽減できます。これを「損益通算」といいます。また、損失を翌年以降に持ち越して将来の利益と相殺する「繰越控除」という仕組みもあります。

しかし、NISA口座で生じた損失は、これらの対象外です。NISA口座の損失は税務上ゼロとして扱われるため、課税口座の利益と相殺することはできません。

評価額がマイナスになった場合、売却するかどうかは、慎重に判断する必要があります。

口座開設は金融機関で行う

こども支援NISA口座は、証券会社や銀行などの金融機関で開設します。口座で運用する資産は、名義人である子どもに帰属します。親であっても、子どものため以外の目的で引き出すことは認められていません。

証券会社や銀行ごとに購入できる商品が異なるため、口座を開く前に各社の取扱商品を比較しておきましょう。

まとめ:2027年の制度開始に向けて準備を始めよう

こども支援NISAは、2027年1月に始まる18歳未満向けの非課税投資制度です。1年に60万円まで、トータル600万円を上限に、積立投資に適した投資信託で運用を行えます。

ジュニアNISAの課題であった「18歳まで引き出し不可」という制限が緩和され、12歳以降は子の同意のもとで引き出しが可能になりました。そのため、中学進学時の教育費など、18歳より前に必要な資金にも対応しやすい設計といえます。

しかし、運用益が非課税になる反面、対象商品はすべて元本割れリスクがあります。投資リスクを受け入れつつ、お子さまの進学資金や将来に効率的に備えたい方は、こども支援NISAの利用を視野に入れてみてはいかがでしょうか。

なお、口座開設の受付時期や対応金融機関などの詳細は今後、順次発表される見込みです。詳しい情報については、金融庁や証券会社の発表を待つ必要があります。最新情報は金融庁のWebサイト等で確認してください。

※この記事は2026年1月現在の情報を基に作成しています。
今後変更されることもありますので、ご留意ください。

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