「2023年末までの旧NISAを利用していたけど、2024年からの新NISAへの移行はどうすればいい?」「旧NISA商品を新NISA口座にロールオーバーしたいけどどうすればいい?」
これまで一般NISAやつみたてNISAなどの旧NISAを使ってきた人は、上記のような疑問をお持ちではないでしょうか。
そこで本記事では、旧NISAから新NISA口座へ移行する際に気を付けたいポイントと手続きの方法を解説します。新旧のNISA口座をうまく活用する方法も紹介していきますので、投資判断の参考にしてみてください。
目次
一般NISAやつみたてNISAといった旧NISA口座の利用者が、新NISA口座に移行する際のポイントは以下のとおりです。
旧NISA口座と新NISA口座は別枠管理です。そのため旧NISAを保有している人が新NISA口座を作っても、新旧2つのNISA口座が統合されることはありません。また、旧NISA口座にある商品を新NISA口座へロールオーバー(移管)することもできません。
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旧NISAと新NISAの口座は別々になり、それぞれの枠で非課税投資する形になります。旧NISAの非課税投資枠は新NISAの非課税投資枠にカウントされることはなく、まったく別枠での非課税投資が可能です。
旧NISA | 一般NISA | 5年間で非課税期間終了(最長2027年まで) ※新規買い付けは2023年末で終了 |
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つみたてNISA | 20年間で非課税期間終了(最長2042年まで) ※新規買い付けは2023年末で終了 |
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ジュニアNISA | 2023年末で制度終了。 子どもが18歳になるまで非課税保有可能 |
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新NISA | 2024年以降、制度恒久化。非課税期間は無期限に |
2023年中に旧NISA口座を保有している場合、2023年の年末時点で口座を保有している金融機関で自動的に新NISA口座が開設されます。したがって金融機関を変更する予定がなければ、新NISA口座の開設手続きは不要です。金融機関を変更したい場合は、後述する「旧NISA口座と新NISA口座の金融機関を変更する方法」で、詳しい手続き方法を確認してください。
なお旧NISAでジュニアNISA口座を保有していて2024年1月1日時点で子どもが18歳になる場合、2024年になると子ども名義の新NISA口座が自動的に開設されます。該当する人は、子どもにNISA口座についての説明をしておきましょう。
旧NISAで投資信託の積立設定をしている場合、旧NISAの積立設定は新NISAに自動で引き継がれます。
新NISAの成長投資枠では、信託期間20年未満、毎月分配型投資信託、デリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除外しています。そのため、一般NISAで投資できていたファンドが新NISAの成長投資枠で投資対象外になっている可能性があります。一般NISAの投資信託自動引き継ぎ設定は投資ファンドによって異なるため、あらかじめ金融機関で新NISAの投資対象を確認しておきましょう。
新NISAのつみたて投資枠とつみたてNISAは対象商品が同一のため、基本的にすべての積立設定が引き継がれます。たとえばつみたてNISAで毎月3万円をAファンドに積立投資しているとき、旧NISAでの積立投資は2023年12月中(スケジュールは金融機関によって異なる)にいったん終了します。そして2024年以降は新NISA口座でAファンドへの積立投資が自動的に始まる流れです。積立設定の自動引き継ぎと引き継ぎ時のスケジュールは金融機関によって異なるため、対象ファンドとあわせてスケジュールも必ず確認しておきましょう。
旧NISAから新NISAへの移行に伴い、2024年以降は旧NISAのロールオーバーもできなくなります。新NISAが始まる前、一般NISAについては事前に手続きすることでロールオーバーが可能でした(つみたてNISAは元々ロールオーバー不可)。ロールオーバーにより、一般NISAの非課税期間は5年から最長10年に延長できていましたが、2024年以降はこの一般NISAのロールオーバーもできなくなる点に注意しましょう。
したがって、2023年中に旧NISAで非課税投資した商品の保有期間は以下のとおりです。
非課税期間終了時には、保有期間を非課税期間終了前に売却するか、非課税期間終了後は課税口座に払い出して引き続き保有するか、どちらかになります。旧NISA口座から新NISA口座への移管もできないため、非課税期間終了前に、売却するか課税口座で継続するかを決めておく必要があります。
【監修者コメント】
今まで投資してきた一般NISAやつみたてNISAが非課税期間終了する際に売却、その売却分を新NISAに投資をするという形が多いと思われます。
特に、新NISAについては非課税期間が無期限なので長期で非課税のメリットが受けられます。
新NISA口座は年単位で金融機関を変更できます。旧NISA口座はあるものの、新NISA口座では金融機関を変更したいという場合は、変更前の金融機関と変更後の金融機関、両方での手続きが必要です。
なお、手続き時期と非課税投資の状況によって、非課税枠の変更年度は変わります。2024年に一度でも新NISAの非課税枠を利用すると、その年分は金融機関の変更ができません。以下のスケジュールを目安に、手続きを進めてください。
手続き時期 | その年の新NISA口座非課税枠利用 | 手続きの可否 | 金融機関変更による非課税枠 |
---|---|---|---|
2023年10月~12月末 | 2023年中に旧NISAで非課税投資をした | 可 | 翌年から変更可 2024年から新しい金融機関で新NISAの非課税投資枠を利用できる |
2023年中に旧NISAで非課税投資をしていない | |||
2024年1月~9月末 | 2024年中に新NISAで非課税投資を利用した | 不可 | ― |
2024年中に新NISAで非課税投資を利用していない | 可 | 当年から変更可 2024年から新しい金融機関で新NISAの非課税投資枠を利用できる |
※金融機関によって詳細スケジュールは異なる可能性があります
金融機関では、毎年10月頃から翌年のNISA口座変更の手続きを受け付けています。2024年からNISA口座を変更したい人は、2023年中に変更手続きをすませましょう。
【監修者コメント】
NISAの取り扱い商品は金融機関によって違います。取り扱い商品が多ければいいということもなく、かえって迷うということもあるでしょう。
自分が投資したい商品があるか、または長く付き合える金融機関であるのかなど、よく考えて金融機関の選択をしましょう。そのうえで、金融機関の変更もできることを知っておきましょう。
旧NISAと新NISAは口座が別枠で管理されるため、両方を活用すれば生涯の非課税投資枠をより多く持つことが可能です。
ここでは新旧口座を同時活用する方法と、旧NISAの保有商品の出口戦略について解説します。投資戦略に正解はありませんが、一つの参考にしてみてください。
新旧両方のNISA口座を活用すれば、生涯の非課税枠をより多く持てることになります。
旧NISA口座での非課税投資可能期間が終了しても、その後一般NISAは5年、つみたてNISAは20年、ジュニアNISAは子どもが18歳になるまで非課税保有が可能です。また、旧NISA口座の非課税投資額が新NISAの投資限度額に影響することはありません。旧NISAの保有商品は非課税期間が終了するまで長く保有しておけば、新旧の非課税枠をフル活用できます。
旧NISA口座で保有している商品は、いずれ非課税期間が終了します。非課税期間が終了するギリギリまで保有した後の選択肢は、以下の2つです。
「非課税枠をフル活用」という点で考えれば、非課税期間中の売却によって利益への課税を避ける必要があります。一方で、売却せずに課税口座に移し、保有期間を延ばして長期投資を行ういう選択肢もあります。課税口座に移すとNISAの非課税メリットは失われますが、非課税期間の制約を気にせず長期の資産形成が可能です。長期投資は「長期的に見て成長が期待できる市場の恩恵を受けること」が目的ですから、保有期間を伸ばすことを重視する人もいるかもしれません。
売却益に対する20%の課税を避ける「非課税の恩恵」と、長期運用によって市場の成長をそのまま享受できる「長期投資の恩恵」、どちらの投資戦略が良い・悪いとは言えません。投資する人の年齢やファンドの現在価値、投資(資産形成)の目的やライフプランによって、取るべき戦略は変わってくるからです。投資の出口戦略は理想の老後を迎えるためにも重要なポイントになるため、少しでも悩んだときは専門家に相談し、慎重に判断するようにしてください。
旧NISAと新NISAは別枠管理となり、口座も別々に持つことになります。新旧のNISA口座を統合したり、運用商品をロールオーバー(移行)したりすることはできません。また、一般NISAでできていたロールオーバーも、2024年以降はできなくなる点に気をつけましょう。
ただし、新NISAが始まったからといって旧NISAの商品をすぐに売却する必要はありません。旧NISAの非課税投資枠は新NISAの非課税投資枠に一切影響しないため、旧NISA商品を非課税期間が終了するギリギリまで保有したほうが、新旧の非課税枠をフル活用できます。
新旧の非課税枠活用方法や旧NISAの出口戦略の正解は、投資する人の年齢や投資状況、ライフプランなどによって変わります。悩んだ際は一人で判断せず、金融機関やファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談してみてください。
七十七銀行でも、新NISA口座への移行に関連するさまざまな疑問にお応えしています。最寄りの支店でお気軽にご相談ください。
【監修者コメント】
新NISAは、今までよりも多くの投資を推進していく施策です。
これを機に今まで投資をしたことがなかった方なども、少額から始めてみてもいいでしょう。
【七十七銀行 関連ページ】
【参考サイト】
※この記事は2023年11月現在の情報を基に作成しています。
今後変更されることもありますので、ご留意ください。