お金を貯めたいと考えているものの、口座の残高がなかなか増えていかずに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
お金が貯まらない人には「家計の収支を把握していない」「計画的にお金を使えていない」などの特徴があります。貯蓄をするときは、お金が貯まらない原因を考えて対策をし、貯まる仕組みを作ることが大切です。
本記事では、お金が貯まらない人の特徴やお金を貯めやすくするポイントなどをわかりやすく解説します。
まずは、お金が貯まらない人の主な特徴をご紹介します。お金が貯まらないと悩んでいる人は、どの特徴に該当しているのかを考えることで、対策を検討しやすくなるでしょう。
お金を貯めるためには、毎月の支出が収入を下回る状態にしなければなりません。そのためには、ひと月のあいだに、お金を何にいくら使ったのかを把握することが重要です。
毎月の支出を把握していないと「今月の支出は25万円だと思っていたが、実際は30万円であり赤字となった」というケースが起こりやすくなります。その結果、お金は貯まりにくくなるのです。
お金を貯めるときは、計画的にお金を使って家計の収支を管理する必要があります。収支のバランスを考えることなく、家電や衣服などを衝動買いしてしまうと、お金は貯まりにくくなるでしょう。
また「コンビニに行くとお菓子やお酒などをついつい購入してしまう」「カフェに行く機会が多い」などに当てはまる人も、お金が貯まりにくい人の代表的な特徴です。
1回あたりの支払額が少なかったとしても、コンビニやカフェを利用する回数が多いと、家計への負担は重くなってしまいかねません。
「毎月の赤字はボーナスで補填すればよい」と考えている人も、お金が貯まりにくいです。そもそも毎月の家計が赤字である人は、家計を適切に管理ができていないためです。
また、ボーナスは企業の業績や個人の成果などで変動するため、支給額が想定よりも少ないと赤字を補填しきれず、さらに貯蓄が難しい状況になりかねないでしょう。
住宅ローンや自動車ローン、教育ローンなどは、まとまった資金を準備するときに役立つ商品です。計画的にローンを利用できれば、マイホームを購入するときや子どもが進学するときなどの支出に対処しやすいでしょう。
しかし、返済計画を立てることなくローンを組んでしまうと、返済負担が家計を圧迫してお金が貯まりにくい状況になりかねません。
また、将来的に起こりうるライフイベントを考慮せずに借り入れをすると、返済途中で収入の減少や支出の増加があったとき、返済負担が家計を圧迫しやすくなります。
夫婦共働き世帯の場合、財布を別々で管理しており、食費や住居費などの分担だけを決めていると、お金が貯まりにくくなることがあります。夫婦の財布が別々であると、お互いの収入や支出を把握しにくくなって、家計の管理が困難な状況になりやすいためです。
「相手が貯めてくれているだろう」と考えていると、まとまった資金が必要になったときに夫婦のどちらも貯蓄ができておらずに困る可能性があります。
「毎月の給与をいつもすべて使い切ってしまう」「給料日の前日には口座の残高が数百円しかない」といった経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
毎月の収入から生活費に充てた残りを貯蓄に回そうとしても、お金はなかなか貯まらないでしょう。結局は手元にある分だけお金を使ってしまい、貯蓄分が残らないことがあるためです。たとえ余りが生じて貯蓄できたとしても、次月以降も同じ金額を貯められるとは限りません。
では、平均的な貯蓄額はいくらなのでしょうか。金融広報中央委員会の調査をもとに、二人以上世帯と単身世帯における貯蓄額の平均と中央値をみていきましょう。
中央値とは、データを小さい順に並べたときちょうど真ん中に位置する値のことです。中央値を確認することで、より実態に近い結果を確認できます。
結果は、以下の通りです。
年代 | 平均 | 中央値 |
---|---|---|
20歳代 | 214万円 | 44万円 |
30歳代 | 526万円 | 200万円 |
40歳代 | 825万円 | 250万円 |
50歳代 | 1,253万円 | 350万円 |
60歳代 | 1,819万円 | 700万円 |
70歳代 | 1,905万円 | 800万円 |
全体 | 1,291万円 | 400万円 |
※出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」
年代 | 平均 | 中央値 |
---|---|---|
20歳代 | 176万円 | 20万円 |
30歳代 | 494万円 | 75万円 |
40歳代 | 657万円 | 53万円 |
50歳代 | 1,048万円 | 53万円 |
60歳代 | 1,388万円 | 300万円 |
70歳代 | 1,433万円 | 485万円 |
全体 | 871万円 | 100万円 |
※出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」
二人以上世帯と単身世帯のどちらも、年齢が上がるにしたがたって金融資産保有額は基本的に増えていることがわかります。また、どちらの世帯も中央値と平均値に乖離があり、金融資産を多く保有する世帯が平均値を引き上げていると考えられます。
一方で、二人以上世帯のほうが単身世帯よりも多くの金融資産を保有していることがわかる結果となりました。特に中央値が100万円未となっているのは、二人以上世帯が20歳代のみであるのに対し、単身世帯は20歳代から50歳代まで該当しています。
続いて、お金を貯めるときに意識したい7つのポイントをご紹介します。
「老後資金を貯めたい」「こどもの教育資金を貯めたい」「病気になったときに備えたい」など、お金を貯める目的は人それぞれです。まずは、お金を貯める目的を決めるとよいでしょう。目的を明確にすることで、お金を貯めるモチベーションを保ちやすくなります。
また、目標を考えることで毎月の積立額を計算しやすくなるでしょう。たとえば、お金を貯める目的が「20年間で1,000万円の老後資金を準備したい」で金利を考慮しない場合での毎月の積立額は「1,000万円÷20年÷12か月≒4.2万円」が目安であるとわかります。
家計の収支を把握していない人は、家計簿を付ける習慣を身につけるとよいでしょう。毎月のお金の流れが明確になり、不要な支出を把握したり対策を検討したりしやすくなります。
家計簿をつける際は、スマートフォンの家計簿アプリを活用することをおすすめします。銀行口座やクレジットカードを連携すると、取引記録から何にお金を使ったのかを推測し、自動的に家計簿を付けられるためです。
また、最初から厳密に家計簿をつける必要はありません。たとえば、スーパーで食料品と日用品の両方を購入したとしましょう。食料品の購入費用が大半を占めているのであれば、日用品も含めて食費として計上しても問題ありません。ご自身にとって、無理のない範囲で家計簿をつけていくとよいでしょう。
食費や日用品代などの変動費を削ろうとしても、我慢をしてストレスが溜まると長続きしません。そこで、収支を削りたいときは、固定費から優先して見直すとよいでしょう。固定費とは、住居費や水道光熱費、通信費、保険料などです。
たとえば、毎月の通信費が家計を圧迫しているのであれば、携帯電話のキャリアや通信プランの変更を検討するとよいでしょう。格安SIMと呼ばれる通信キャリアに乗り換えたり、安い料金プランに変更したりすると、毎月の通信費を削減できる可能性があります。
また、生命保険の見直しをすると、毎月の保険料負担を軽減できることがあります。生命保険の保障内容を長年にわたって変更していないのであれば、見直しをするのも方法でしょう。
ただし、保険料の削減が見直しの目的ではありません。家族構成や今後のライフプランに合わせた保障内容に見直すことが前提となります。
ローンを組むときは、家計の収支や今後のライフプランなどをもとに返済計画を立てることが大切です。金融機関の担当者やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、入念に返済計画を立てたうえで借入額や返済期間を決めるとよいでしょう。
また、返済途中で収入が減少したり支出が増えたりしても返済が苦しくならないように、返済計画を立てるときは毎月の返済額にある程度の余裕をもたせると安心です。
1つの口座のみでお金を管理していると、生活に使うお金と貯めるお金の区別がつきにくくなり、ついつい貯めたお金に手を出しやすくなります。そこで、口座を以下の3つに分けて管理すると、お金が貯まりやすい仕組みを作ることができます。
まず、毎月の給与は生活口座に振り込まれるようにします。給与が生活口座に振り込まれたら、貯蓄口座と緊急資金口座に移すことで、自然とお金は貯まっていくでしょう。
夫婦共働きの場合は、生活費と貯蓄を管理する共通の財布を作り、それぞれの財布から毎月一定金額を入金するとよいでしょう。
共働きであれば、財布を1つにまとめてお小遣い制にするのが最も貯まりやすいですが、お金を自由に使えないことでストレスを感じてしまいかねません。
その点、共通の財布を作ると、入金した残りのすべてをそれぞれが自由に使えるため、財布を1つにまとめるときよりも、お金を貯めるときにストレスを感じにくいでしょう。
先取り貯蓄とは、給与が振り込まれたら貯蓄する金額を先に貯蓄口座に移し、残ったお金で生活する方法です。貯蓄に回す金額は、手取り収入の10〜20%を目安にするとよいでしょう。
たとえば、手取り収入が30万円であれば、給与が振り込まれたときに3万〜6万円を先に貯蓄口座または緊急資金口座へ移し、残りの24万〜27万円で生活をします。
貯蓄する分を先に確保すると、ついついお金を使ってしまうリスクを抑えることができ、よりお金が貯まりやすくなります。
お金を貯めるときは、金融機関が取り扱う商品や勤務先の福利厚生制度、非課税制度などを活用するとよいでしょう。ここでは、お金を貯めるときに活用できる商品や制度をご紹介します。
先取り貯蓄をするときは、 金融機関が取り扱う「積立預金」や「定期積金」を契約する方法があります。それぞれの特徴は、以下の通りです。
積立預金は、積立期間を1年や2年などから定める商品と、期間を定めない商品があります。
定期積金は、1回あたりの掛け金額を設定する「定額式」と、満期日に受け取る給付金額を決めて掛け金を設定する「目標式」の2種類から選べるのが一般的です。
積立預金と定期積金は「預金保険制度」の対象です。金融機関が破綻したとしても、預金者1人あたり元本1,000万円と破綻日までの利息が保証されるため、安全性が高い商品といえます。
財形貯蓄(勤労者財産形成貯蓄)は、毎月の給与から一定金額を天引きして、定期預金や生命保険などで積み立てる方法です。給与天引きで積立ができるため、先取り貯蓄をする際に役立ちます。
財形貯蓄は「一般財形貯蓄」「財形年金貯蓄」「財形住宅貯蓄」の3種類があります。
預貯金の利息や投資信託の配当金などには、20.315%の税金がかかりますが、財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄をあわせて元利合計550万円までの利子等が非課税となります。
※財形年金貯蓄のうち「生命保険または損害保険の保険料」「生命共済の共済掛金」などにかかるものについては、元本または払込保険料累計額385万円までが非課税
なお、 財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄を利用できるのは、契約時に55歳未満である勤労者です。
会社勤めの方は、勤め先が財形貯蓄を実施していないかを確認してみましょう。
貯蓄型生命保険であれば、お金を貯める目的にあわせた商品を選ぶことができます。主な貯蓄型生命保険は、以下の通りです。
また、生命保険に加入して保険料を支払うと「生命保険料控除」を受けられます。生命保険料控除は、1年間で支払った保険料に応じた一定金額を所得から控除できる制度です。
生命保険料控除を適用した結果、年間の所得金額が少なくなると、所得税や住民税を軽減できることがあります。
お金を貯める習慣が身についてきたら「つみたてNISA」を活用し、投資信託で積立投資をするのも1つの方法です。積立投資とは、毎月一定金額の金融商品を購入する投資方法です。つみたてNISAでは、投資信託などの積立投資で得た運用益が非課税となります。
商品を売却して得た利益や受け取った配当などには、通常であれば約20.315%の税金がかかりますが、つみたてNISAの口座で取引をしていたのであれば税金はかかりません。非課税投資枠は年間40万円、非課税で運用できる期間は最長20年です。
なお、NISAは2024年1月から新しい制度が開始する予定であり、非課税枠や非課税期間などが拡充される予定です。新NISAが始まったあとも、2023年末までにつみたてNISAで新規投資した商品は、非課税期間が終わるまで引き続き非課税で運用できます。
詳しくはこちらの記事で解説しています。 2024年に始まる新NISAとは?変更点やメリット・デメリットを解説
iDeCoは、掛金を拠出して投資信託や生命保険、定期預金などの運用先を指定して、自分自身で将来の年金を準備する制度です。
iDeCoでは運用益が非課税となるだけでなく、掛金の全額が所得控除の対象です。1年間で支払った掛金と同じ金額を、その年の所得から差し引けます。所得が少なくなることで、所得税や住民税の軽減効果が期待できます。
ただし、iDeCoで積み立てた資産は、原則として60歳まで引き出せません。教育資金やマイホームの購入資金などを貯めたいときは、他の方法を検討するとよいでしょう。
お金を貯めるときのコツには「複数の口座に分けて管理する」「先取り貯蓄をする」「固定費から見直しをする」などがあります。また、積立預金や生命保険、NISAなどを活用するのも、お金を貯めるときのポイントです。
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※この記事は2023年3月現在の情報を基に作成しています。
今後変更されることもありますので、ご留意ください。