資産運用新NISAとつみたてNISAは併用できる!新・旧制度の違いも解説

2024年1月から新しいNISAが開始されるため、旧制度のつみたてNISAや一般NISAは2023年12月末をもって新規投資ができなくなります。

一方で、今までの一般NISAやつみたてNISAは非課税期間満了までは保有できるため、新しいNISAと併用しながら運用することも可能です。

この記事では、新しいNISAが始まった後のつみたてNISAについてわかりやすく解説します。新制度とつみたてNISAの主な変更点も解説していますので、ぜひご一読ください。

ファイナンシャルプランナー 宮里 恵(M・Mプランニング 代表)

ファイナンシャルプランナー 宮里 恵
M・Mプランニング 代表

保育士、営業事務の仕事を経て、ファイナンシャルプランナーに。
独身、子育て世代から定年後の方までお金に関する相談を受けて、16年目になります。
主婦FPとして、等身大の目線でのアドバイスが好評です。
家計・保険・老後、教育資金などの個別相談を主に、マネーセミナーも定期的に行っているほか、お金の専門家として、テレビ取材なども受けています。
人生100年時代の今、将来のための自助努力、今からできることを一緒に考えていきましょう。

新NISAが開始されるとつみたてNISA・一般NISAはどうなるのか

新しいNISAと旧NISA(つみたてNISA・一般NISA)では、1年間で投資できる金額(年間投資枠)や非課税で商品を運用できる期間(非課税保有期間)などが異なります。具体的な制度内容は、以下のとおりです。

  新NISA(2024年1月~) 現行NISA(2023年12月まで)
つみたて投資枠 成長投資枠 つみたてNISA 一般NISA
年間投資枠 120万円 240万円 40万円 120万円
非課税保有期間 無期限化 20年間 5年間
非課税保有限度額 1,800万円
(うち成長投資枠は1,200万円)
800万円 600万円
口座開設期間 恒久化 2023年末まで
対象年齢 18歳以上

※参考:金融庁「NISAとは?

新しいNISAは、旧NISAよりも年間投資枠や非課税保有限度額が拡大され、非課税保有期間は無期限に延長されるなど、より使い勝手のよい制度となりました。

また新しいNISAでは、つみたてNISAの役割はつみたて投資枠へ、一般NISAは成長投資枠へとそれぞれ引き継がれます。

では、新NISAが開始されるとつみたてNISAの取り扱いはどのようになるのでしょうか。ここでは、2024年1月以降につみたてNISAがどうなるのかを解説します。

つみたてNISA口座で商品の積み立てができなくなる

つみたてNISAで新規買付ができるのは2023年末までであるため、2024年1月以降は商品の積み立てができません。

すでにつみたてNISA口座を持っている人は、とくに手続きをしなくても同じ金融機関で新しいNISAの口座が開設されます。その際、つみたてNISAで積み立てていた商品や毎月の積立金額などの設定は、新NISAのつみたて投資枠へと引き継がれます。

新NISAとは別口座で最長20年間は非課税で保有できる

つみたてNISA口座で購入した商品は、2024年1月以降も新しいNISAとは別の口座で最長20年間にわたって非課税で運用できます。新しいNISAを始めるにあたり、つみたてNISA口座で保有する商品を売却する必要はありません。

たとえば、2022年につみたてNISAの口座で新規投資した商品は、最長で2041年まで非課税で運用することが可能です。

非課税保有期間が終わった後は、課税口座(特定口座・一般口座)に払い出されます。また、非課税保有期間が終わる前に商品を売却して換金することもできます。

つみたてNISAの保有商品は新NISA口座には移管できない

つみたてNISA口座で保有する商品は、新しいNISAの口座には移管されません。2024年1月の時点で、新しいNISA口座の残高は0円となっています。

また、つみたてNISAの非課税保有期間が終了した後に、保有商品を新しいNISAの口座に移管することもできません。

つみたてNISA口座の資産を新しいNISA口座に移すためには、商品を売却して現金化する必要があります。

新NISAとつみたてNISAは併用できる

新NISAと旧NISAは、別の口座で管理されるため併用が可能です。そのため、つみたてNISA口座で購入した商品を引き続き非課税で運用しながら、新しいNISAのつみたて投資枠で商品を積み立てられます。

たとえば、つみたてNISAで投資した商品の運用益をさらに増やしたいときや、含み損を解消したいときは、新NISA開始後もしばらくは保有し続けるとよいでしょう。

また、つみたてNISA口座で商品を保有していても、新しいNISAで新規投資できる金額が減ることはありません。

一方で、新NISAの開始後はつみたてNISA口座で商品の買い付けができなくなるため、将来に向けて積立投資をする際はつみたて投資枠または成長投資枠を利用します。

【監修者コメント】

今までのつみたてNISAは、新規投資はできませんが、積み立てた分は今後も運用されていきます。また新NISAとは別枠で非課税となることも考えると、非課税期間まで据え置くのがいいでしょう。

新NISAのつみたて投資枠とつみたてNISAの主な違い

新しいNISAのつみたて投資枠は、つみたてNISAからどの点が変更されたのでしょうか。主な変更点は、以下のとおりです。

  • 年間投資枠は120万円に拡大
  • 非課税保有期間は無期限に延長
  • 成長投資枠との併用が可能
  • 非課税限度額が最大1,800万円に拡大
  • 商品を売却すると非課税投資枠を再利用できる

1つずつ見ていきましょう。

年間投資枠は120万円に拡大

つみたてNISAの年間投資枠は40万円であり、毎月の積立額は33,333円が上限でした。

一方、つみたて投資枠の年間投資枠は120万円とつみたてNISAの3倍に増額されました。つまり毎月10万円まで商品を買い付けることができます。

非課税保有期間は無期限に延長

つみたてNISAの非課税保有期間は最長20年でした。また、非課税保有期間の終了後は自動的に課税口座に払い出されます。

つみたて投資枠では、非課税保有期間が無期限に延長されたため、つみたてNISAよりも長期間にわたって金融商品を非課税で運用することが可能です。

成長投資枠との併用が可能

旧NISAは、一般NISAとつみたてNISAのどちらか一方しか利用できませんでした。それが新しいNISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能です。

たとえば「つみたて投資枠で投資信託をコツコツと積み立てながら、成長投資枠で株式の個別銘柄に投資をする」といった柔軟な運用ができます。

また、成長投資枠の年間投資枠は240万円であるため、つみたて投資枠とあわせて年間360万円まで新規投資が可能です。

非課税限度額が最大1,800万円に拡大

つみたてNISAの非課税保有限度額は「40万円×20年間=800万円」でした。一方の新しいNISAは、つみたて投資枠と成長投資枠をあわせて1,800万円と大幅に拡充されています(うち成長投資枠は1,200万円)。

また、つみたて投資枠のみで1,800万円の非課税保有限度額を使い切ることも可能です。たとえば、毎月の積立額が5万円である場合、最長30年間、商品を積み立てることができます。

なお、非課税限度額は商品を買い付けたときの金額で管理されます。そのため、保有する商品の値動きによって非課税保有額が増えたり減ったりすることはありません。

商品を売却すると非課税保有額を再利用できる

つみたてNISAは商品を売却しても非課税保有額は再利用できませんでした。それが新しいNISAでは、保有する商品を売却すると、その商品を買い付け金額分の非課税保有額を、翌年に再利用できるようになります。

たとえば、非課税保有額のうち1,600万円を使っているとしましょう。つみたて投資枠で新規投資できる金額は、残り200万円です。

このケースで、買付時の金額が合計100万円の商品を売却すると、翌年には利用中の非課税保有額が1,500万円となり、新規投資できる金額は300万円に増えます。

非課税保有額を再利用できる仕組みができたことで、資金が必要になったときに保有商品を売却するという選択がしやすくなったといえます。

新NISAで将来に向けた資産形成を始めよう

つみたてNISAとつみたて投資枠には、多くの違いがある一方で「対象商品が厳選されており、投資の初心者でも選びやすい」というメリットは共通しています。

つみたてNISAの対象商品は、長期・積立・分散投資に適している一定の投資信託です。たとえば、投資対象が株式である投資信託(公募株式投資信託)の場合、以下のような要件に該当すると、つみたてNISAの対象商品となります。

  • 販売手数料はゼロ(ノーロード)
  • 信託報酬(商品の保有中にかかる費用)は一定水準以下 など

※出典:金融庁「つみたてNISAの概要

つみたてNISAの対象商品は、2023年11月22日時点で261本です。つみたて投資枠でも同程度の商品のなかから、投資先を選ぶことができます。

※出典:金融庁「つみたてNISAの対象商品

市場では数え切れないほどの金融商品が取り引きされていますが、対象商品が厳選されたつみたて投資枠であれば、初心者でも投資先を選びやすいといえるでしょう。

その一方で、つみたて投資枠には「年間投資枠が最大120万円に増額」「非課税保有期間は無期限に延長」「成長投資枠と併用できる」など、つみたてNISAよりも優れた点が多くあります。

老後の生活資金や子どもの進学資金などを準備するために資産形成を始めるときは、非課税メリットをより受けやすくなった新しいNISAを活用するとよいでしょう。

また、選びやすいとはいえ、初めて投資をするという人は不安があるかもしれません。そのような人は、窓口で相談できる銀行でNISAの口座を開設するのも手段の一つです。

新NISAとつみたてNISAに関するQ&A

最後に、新しいNISAとつみたてNISAについてのよくある質問と、それに対する回答をご紹介します。

つみたてNISAから新NISAに切り替える手続きは必要ですか?

つみたてNISAの口座を持っている人は、同じ金融機関で新NISAの口座が自動開設されるため、とくに手続きは必要ありません。

ただし、つみたてNISAの口座がある金融機関とは、別の金融機関で新NISAの口座を開きたいのであれば、口座変更の手続きをしなければなりません。口座変更の手続きができるのは、旧NISAと同じく年に1回のみです。

なお、つみたて投資枠と成長投資枠を、異なる金融機関で利用することはできません。

つみたてNISAの積立設定は新NISAに移行されますか?

NISA口座がある金融機関で新しいNISA口座が自動開設される際、つみたてNISAの積立設定はつみたて投資枠に自動で引き継がれます。

もちろん、積み立てる商品や積立金額を新たに設定することも可能です。

新NISAを始めるためにつみたてNISAで保有する商品を売却する必要はありますか?

つみたてNISAの保有資産を売却しなくても、新しいNISAは利用できます。つみたてNISA口座で商品を保有していたとしても、新しいNISAの年間投資枠や非課税保有限度額は減少しません。

また、つみたてNISAで新規投資した商品は、新しいNISAの開始後も、最長20年の非課税保有期間が終わるまで引き続き保有できます。

まとめ

新しいNISAが始まると、つみたてNISAで新規投資はできなくなりますが、非課税保有期間が終わるまでは引き続き商品を保有できます。

将来に向けて積立投資をする際は、新しいNISAのつみたて投資枠を活用するとよいでしょう。つみたて投資枠は、1年間で投資できる金額がつみたてNISAの3倍になりました。また、商品を非課税で運用できる期間は無期限に延長され、より使い勝手のよい制度に進化しています。

新しいNISAの制度内容や活用方法、つみたてNISAとの違いなどがわからないときは、お近くの七十七銀行の窓口までご相談ください。資産形成の知識が豊富な職員が、わかりやすくご説明いたします。

【監修者コメント】

今までのつみたてNISAの月々の積立金や商品をそのまま続けたい場合は、特に手続きは必要ありません。
新NISAで月々の投資額を増やしたい、新たな商品に投資してみたいという場合は、手続きをする必要があります。

【七十七銀行 関連ページ】

【参考サイト】

※この記事は2023年11月現在の情報を基に作成しています。
今後変更されることもありますので、ご留意ください。

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