資産運用一般NISAとつみたてNISAの違いとは?新NISAでの違いもわかりやすく解説

一般NISAとつみたてNISAは、1年間で投資できる金額や運用益が非課税になる期間、対象商品などに違いがあります。それぞれの特徴をよく理解したうえで、一般NISAとつみたてNISAのどちらを利用するかを選ぶことが大切です。

本記事では、一般NISAとつみたてNISAの主な違いを解説します。2024年から始まる新しいNISAの制度内容や新設される非課税枠、現行制度との違いもご紹介していますので、ぜひお役立てください。

ファイナンシャルプランナー 宮里 恵(M・Mプランニング 代表)

ファイナンシャルプランナー 宮里 恵
M・Mプランニング 代表

保育士、営業事務の仕事を経て、ファイナンシャルプランナーに。
独身、子育て世代から定年後の方までお金に関する相談を受けて、16年目になります。
主婦FPとして、等身大の目線でのアドバイスが好評です。
家計・保険・老後、教育資金などの個別相談を主に、マネーセミナーも定期的に行っているほか、お金の専門家として、テレビ取材なども受けています。
人生100年時代の今、将来のための自助努力、今からできることを一緒に考えていきましょう。

一般NISAとつみたてNISAの基礎知識

現行NISA制度には「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」といった3種類の非課税制度があります。

一般NISAは、上場株式や投資信託などの運用で得られた利益が、最長5年間にわたって非課税となる制度です。

つみたてNISAは、長期・積立・分散投資を支援する制度です。非課税保有期間は最長20年となっており、一般NISAよりも長く定められています。

ジュニアNISAは、18歳未満の未成年を対象とする非課税制度です。新規投資できる商品や非課税保有期間は一般NISAと同じです。

現行のNISAは、2023年末をもって新規投資ができなくなります。その代わり、2024年1月からは新しいNISAが開始され、一般NISAは「成長投資枠」、つみたてNISAは「つみたて投資枠」へと役割が引き継がれます。なお、ジュニアNISAの特徴を受け継ぐ制度は設けられません。

一般NISA(成長投資枠)とつみたてNISA(つみたて投資枠)の違い

NISAは、非課税制度の種類によって1年間で投資できる金額や非課税保有期間などが異なります。現行の一般NISAとつみたてNISA、新しいNISAの成長投資枠とつみたて投資枠の制度内容は、それぞれ以下のとおりです。

  現行NISA(2023年12月まで) 新NISA(2024年1月~)
一般NISA つみたてNISA 成長投資枠 つみたて投資枠
年間投資枠 120万円 40万円 240万円 120万円
非課税保有期間 5年間 20年間 無期限化
非課税保有限度額 600万円 800万円 1,800万円
(うち成長投資枠は1,200万円)
口座開設期間 2023年末まで 恒久化
対象年齢 18歳以上

※参考:金融庁「NISAとは?

ここからは、一般NISA(成長投資枠)とつみたてNISA(つみたて投資枠)の主な違いをご紹介します。

年間投資枠

1年間で新規投資できる金額は、一般NISAが120万円、つみたてNISAが40万円です。一般NISAの方が年間投資枠は高く設定されており、また一括投資(スポット購入)と積立投資の両方を選択できます。

つみたてNISAは、少額からの長期・積立・分散投資の支援に特化した制度ということもあり、年間投資枠は一般NISAよりも低く設定されており、投資方法は積立のみとなっています。

新しいNISAの年間投資枠は、成長投資枠が240万円、つみたて投資枠が120万円です。成長投資枠は一般NISAの2倍、つみたて投資枠はつみたてNISAの3倍に増額されました。

加えて、成長投資枠とつみたて投資枠は併用できるため、年間で最大360万円まで新規投資をすることが可能です。

非課税保有期間

投資した商品を非課税で保有できる期間は、一般NISAが5年、つみたてNISAが20年です。たとえば、2023年につみたてNISAの口座で投資信託を購入した場合、2042年末までに売却すると利益を得ても税金はかかりません。

一般NISAについては、非課税期間が終了した後に翌年の非課税枠に移管(ロールオーバー)することで、最長10年間、非課税で運用することが可能です。

つみたてNISAにロールオーバーの仕組みはありませんが、元々の非課税保有期間が一般NISAよりも長く設定されています。

新しいNISAでは、成長投資枠とつみたて投資枠のどちらも、非課税保有期間が無期限に延長されるため、両者の違いはなくなります。

新しいNISAが始まった後も、一般NISAとつみたてNISAで投資した商品は、非課税期間が終了するまで非課税での運用が可能です。ただし、一般NISAはロールオーバーができなくなるため、新NISA開始後の非課税保有期間は最長5年となります。

投資対象商品

つみたてNISAとつみたて投資枠は、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託またはETFが対象です。対象商品となるためには、金融庁が定める基準をクリアしなければなりません。

たとえば、投資対象が株式である投資信託(公募株式投資信託)の場合、つみたてNISAの対象商品となるためには、以下のような要件に該当する必要があります。

  • 販売手数料はゼロ(ノーロード)
  • 信託報酬(商品の保有中にかかる費用)は一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)に限定
  • 顧客1人ひとりに対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること など

※出典:金融庁「つみたてNISAの概要

一般NISAと成長投資枠は、幅広い投資信託に投資できるだけでなく、国内外の株式やREIT(不動産投資信託)などにも投資が可能です。主な対象商品は、以下のとおりです。

  • 株式投資信託
  • 国内株・外国株
  • 国内ETF・海外ETF
  • ETN(上場投資証券)
  • 国内REIT(J-REIT)・海外REIT
  • 新株予約権付社債(ワラント債)

※出典:金融庁「一般NISAの基礎知識

ただし、非上場株式や債券、金・プラチナなどは、一般NISAと成長投資枠の対象外です。また、成長投資枠では「整理・監理銘柄」「信託期間20年未満の投資信託等」「高レバレッジ型の投資信託等」「毎月分配型の投資信託等」も対象外となります。

非課税保有限度額

現行NISAの非課税保有限度額は、一般NISAが600万円(120万円×5年間)、つみたてNISAは800万円(40万円×20年間)です。

年間投資枠は一般NISAの方が高く設定されていますが、非課税保有限度額については運用期間が長い分、つみたてNISAの方が高くなります。

新しいNISAの非課税保有限度額は、つみたて投資枠と成長投資枠をあわせて1,800万円です。ただし、成長投資枠は1,200万円が上限となっています。

また新しいNISAでは、保有中の商品を売却すると、その商品を買い付けたときの金額分だけ、翌年の非課税保有限度額が復活します。

たとえば、非課税保有限度額である1,200万円を利用しているとしましょう。新規投資をしたときの金額が100万円である商品を売却すると、利用中の非課税保有額が1,100万円になります。非課税保有限度額の枠が復活する翌年には100万円分の再投資が可能となります。

【監修者コメント】

非課税保有限度額は1,800万円ですが、資金が必要な場合売却すれば、運用益がでていても非課税で受け取れ、その売却した元金分は翌年また再投資できます。
また、復活は翌年とすることで、短期間での売買に対応しにくい仕組みになっています。

一般NISA(成長投資枠)とつみたてNISA(つみたて投資枠)の主なメリットを比較

一般NISA(成長投資枠)とつみたてNISA(つみたて投資枠)には、それぞれどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、各非課税制度の主なメリットとデメリットをみていきましょう。

一般NISA(成長投資枠)の主なメリット

一般NISAと成長投資枠に共通する主なメリットは、以下のとおりです。

  • 年間投資枠が高い
  • 投資できる商品の選択肢が多い

一般NISAの年間投資枠は120万円であり、つみたてNISAの年間40万円よりも高く設定されています。また、成長投資枠の年間投資枠は240万円とつみたて投資枠の2倍です。

1年間で投資できる金額が高いだけでなく、一括投資(スポット購入)もできるため、一般NISAと成長投資枠はまとまった資金を投資しやすいといえます。

投資できる商品の選択肢が豊富である点も、一般NISAと成長投資枠の主なメリットです。一般NISAや成長投資枠であれば、つみたてNISAやつみたて投資枠では対象外となっている、国内株式や外国株式にも投資できます。

また、つみたてNISA・つみたて投資枠よりも、投資信託の選択肢が豊富です。資金の投資先がオフィスビルや商業施設などの不動産であるREIT(不動産投資信託)に投資をすることも可能です。

そのため、一般NISAや成長投資枠は、投資をする人のより細かな希望に合致した商品で資金を運用しやすいといえます。

つみたてNISA(つみたて投資枠)の主なメリット

つみたてNISAとつみたて投資枠の主なメリットは、以下のとおりです。

  • 初心者でも商品を選びやすい
  • 長期・積立・分散投資ができる

つみたてNISAとつみたて投資枠で投資できる商品は、金融庁が定める基準をクリアした一定の投資信託とETFに限定されています。

つみたてNISAの対象商品数は、2023年9月15月時点で合計251本です。選択肢が限られる分、投資の初心者でも商品を選びやすいといえます。

※出典:金融庁「つみたてNISA対象商品の分類(2023年9月15日)

一定金額を毎月など定期的に購入する方法を「ドルコスト平均法」といいます。基準価格が高いときには少なく、低いときには多く購入ができ、買う時期も分散され、長期で保有することにより、安定的な資産運用が期待できます。

一般NISA(成長投資枠)とつみたてNISA(つみたて投資枠)はどちらを選ぶ?

続いて、ここまでご紹介した制度内容やメリットをもとに、一般NISA(成長投資枠)とつみたてNISA(つみたて投資枠)が向いている人の特徴を解説します。

一般NISA(成長投資枠)が向いている人の特徴

一般NISAや成長投資枠が向いている人の特徴は、次のとおりです。

  • 株式に投資をしたい人
  • まとまった資金がある人

国内株式や外国株式に投資をしたい人は、一般NISAまたは成長投資枠を選ぶとよいでしょう。将来的に成長ができる企業の株式に投資できれば、株価が上がったときに株式を売却することで多くの利益を得られる可能性があります。

また株式に投資をすると、企業の利益の一部を配当金として分配してもらえることがあります。株式投資の経験があり、市場の動向や企業の財務状況などをもとに投資すべき銘柄を判断できる人は、一般NISAや成長投資枠を利用してはいかがでしょうか。

一括でまとまった資金を投資できる人も、一括投資(スポット購入)ができる一般NISAや成長投資枠が向いているといえます。

まとまった資金を投資すると、一般的にリスクは大きくなりますが、その一方で期待できるリターンも大きくなります。リスクは覚悟のうえで、一括投資による大きなリターンを狙いたい人は、一般NISAまたは成長投資枠を選ぶのも1つの方法です。

つみたてNISA(つみたて投資枠)が向いている人の特徴

つみたてNISAやつみたて投資枠が向いている人の特徴は、次のとおりです。

  • 積立投資で資産形成をしたい人
  • 投資の経験が浅く金融商品を選ぶのに慣れていない人

つみたてNISAやつみたて投資枠は、長期・積立・分散投資に適していると考えられる商品から投資先を選べます。老後の生活資金や子どもの教育資金などを準備したいと考えている方は、つみたてNISAやつみたて投資枠の対象商品で積立投資をするのも1つの方法です。

また、投資の経験があまりなく投資する銘柄選びに自身がない人も、つみたてNISAやつみたて投資枠が向いていると考えられます。

金融商品を選ぶときは、特徴やリスク、手数料などさまざまな項目を比較しなければなりません。世の中には、何千、何万という膨大な数の金融商品が取り引きされており、投資の初心者がそのすべてを比較して投資先を選ぶのは困難でしょう。

その点、つみたてNISAやつみたて投資枠の対象商品数は、金融機関によって異なりますが数本〜200本弱であるため、投資経験が浅い方でも投資先を比較的選びやすいといえます。

つみたて投資枠と成長投資枠を併用するのも方法

新しいNISAは、成長投資枠とつみたて投資枠を併用できるため、どちらか一方に絞らずに使い分けるのも方法です。

たとえば、つみたて投資枠で将来的に必要となる資金を積み立てながら、成長投資枠で応援している企業や欲しい株主優待がある企業などの株式を購入することも可能です。

また、毎月10万円以上の積立投資をしたい人も、成長投資枠とつみたて投資枠を併用する方法があります。つみたて投資枠のみを利用する場合、毎月10万円の積み立てで上限に達しますが、成長投資枠を併用すると毎月30万円まで積み立てることが可能です。

ただし、成長投資枠とつみたて投資枠を、別々の金融機関で利用することはできません。取り扱い商品や手数料体系、管理画面の使いやすさなど、さまざまな項目を比較してNISA口座を開設する金融機関を慎重に選ぶことが大切です。

まとめ

一般NISAは、1年間で投資できる金額が高く幅広い商品に投資できますが、非課税保有期間は短く設定されています。一方のつみたてNISAは、年間投資枠が少なく対象商品が限られる代わりに、長期間にわたって非課税で運用することが可能です。

新しいNISAの成長投資枠とつみたて投資枠も、現行制度と同様に年間投資枠や対象商品などが異なりますが、非課税保有期間についてはどちらの非課税枠も無期限に延長されます。

NISAで資産形成をするときは、運用目的や投資したい商品、投資経験などをもとに、自分自身に合った非課税制度を選ぶことが重要です。判断に迷う場合は、資産形成の知識が豊富な職員が在籍する七十七銀行までお気軽にご相談ください。

【監修者コメント】

2024年からは新NISAが始まり、年間投資枠は大幅に拡大され非課税保有期間も無期限など、投資によるメリットが広がります。最初から大きな金額ではなく少額から投資をしてみるのもいいでしょう。

【七十七銀行 関連ページ】

【参考サイト】

※この記事は2023年9月現在の情報を基に作成しています。
今後変更されることもありますので、ご留意ください。

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