ローン住宅ローンの繰り上げ返済とは?金利上昇時にするべきか、タイミングや注意点を解説

住宅ローンの繰り上げ返済をすると、元金を前倒しで減らせるため、将来支払う利息を軽減できます。特に金利が上昇している局面では、「余裕資金があるなら今のうちに繰り上げ返済したほうがよいのでは」と考える方もいるでしょう。

ただし、繰り上げ返済は早ければよいとは限りません。手元資金や住宅ローン控除、今後の支出なども踏まえて判断する必要があります。

本記事では、住宅ローンの繰り上げ返済の仕組みや2つの返済方法、利息軽減効果を解説します。金利上昇時に繰り上げ返済を検討する際の判断基準や注意点、繰り上げ返済以外の選択肢についても紹介します。

住宅ローンの返済負担を見直したい方へ

現在の住宅ローンを借り換えた場合、毎月の返済額や総返済額がどのくらい変わるか確認してみませんか?

七十七銀行の「住宅ローン借換えシミュレーション」では、現在の借入状況をもとに借り換え後の返済額を試算できます。

金子賢司

【執筆・監修】
金子賢司

CFP資格所有(FP1級と同等)
東証一部上場企業(現在は東証スタンダード市場)で10年間サラリーマンを務める中、金融に興味を持ち、資産運用やローンなどの勉強を始める。
その後、生命保険会社、損害保険会社での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。現在は、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。

住宅ローンの繰り上げ返済とは

住宅ローンの繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に、借入残高の一部または全部を前倒しで返済することです。

住宅ローン残高の一部を返済する「一部繰り上げ返済」と、残高のすべてを返済する「全額繰り上げ返済(繰り上げ完済)」があります。

一部繰り上げ返済には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つの方法があります。

  期間短縮型 返済額軽減型
毎月の返済額 原則変わらない 少なくなる
返済期間 短くなる 原則変わらない
利息軽減効果 比較的大きい 比較的小さい
向いているケース 早く完済したい、総返済額を抑えたい 毎月の返済負担を減らしたい

期間短縮型

期間短縮型は、毎月の返済額を原則変えず、返済期間を短縮する方法です。

返済期間が短くなるため、その期間に支払う予定だった利息を減らせます。同じ金額を繰り上げ返済する場合、一般的には返済額軽減型よりも利息軽減効果が大きくなります。

「定年までに完済したい」「総返済額をできるだけ抑えたい」といった場合に検討しやすい方法です。

返済額軽減型

返済額軽減型は、返済期間を原則変えず、毎月の返済額を減らす方法です。

期間短縮型と比べると一般的に利息軽減効果は小さくなりますが、毎月の固定費を抑えられます。

子どもの進学などで支出が増える場合や、定年などで収入が減る予定がある場合には、家計負担を軽減する方法として活用できます。

住宅ローンを繰り上げ返済するメリット

住宅ローンの繰り上げ返済には、支払利息を減らせるほか、金利上昇による負担を抑えられる可能性があります。

支払う利息を減らせる

住宅ローンの利息は、借入元金をもとに計算されます。

繰り上げ返済によって元金を減らすと、その部分に対して将来発生する予定だった利息を支払う必要がなくなるため、総返済額を抑えられます。

金利上昇による負担を抑えられる場合がある

変動金利型では、適用金利が上昇すると支払利息が増える可能性があります。

繰り上げ返済によって元金を減らしておけば、将来の金利上昇による利息負担を抑えられる場合があります。

ただし、金利上昇だけを理由に繰り上げ返済を急ぐ必要はありません。手元資金や住宅ローン控除なども含めて判断しましょう。

繰り上げ返済でどれくらい利息を減らせる?シミュレーション

繰り上げ返済による効果は、返済する金額やタイミングによって異なります。

以下の条件で、借入から5年後に100万円または300万円を繰り上げ返済した場合を試算します。

【試算条件】

  • 初借入額:3,000万円
  • 返済期間:35年
  • 金利:年1.5%
  • 返済方式:元利均等返済
  • ボーナス返済:なし
  • 繰り上げ返済:借入から5年後
  • 金利は全期間変わらないものとして計算

当初の毎月返済額は約9万1,900円です。100万円を繰り上げ返済した場合の概算は、以下のとおりです。

  繰り上げ返済なし 期間短縮型 返済額軽減型
繰り上げ返済後の毎月返済額 約9万1,900円 約9万1,900円 約8万8,400円
借入からの返済期間 35年 約33年7か月 35年
短縮できる期間 ― 約1年5か月 ―
利息軽減額 ― 約55万円 約24万円

※概算値です。実際の返済額や利息軽減額とは異なる場合があります。

同じ条件で300万円を繰り上げ返済した場合、期間短縮型では返済期間を約4年2か月短縮でき、利息軽減額は約156万円となる計算です。返済額軽減型では毎月返済額が約8万1,500円となり、利息軽減額は約73万円です。

一般的に、繰り上げ返済する金額が大きいほど利息軽減効果も大きくなります。また、同じ金額を返済する場合は、残りの返済期間が長い時期に実施するほど、減らせる利息も大きくなりやすい傾向があります。

ただし、多額の資金を繰り上げ返済に充てると、その分だけ手元資金も減 ります。利息軽減効果だけでなく、返済後に十分な資金を確保できるかも確認しましょう。

住宅ローンは今、繰り上げ返済したほうがよい?

金利が上昇している局面でも、一律に「繰り上げ返済したほうがよいタイミング」とはいえません。

現在の金利だけでなく、借入残高や残りの返済期間、手元資金、住宅ローン控除、今後のライフイベントなどを確認して判断しましょう。

繰り上げ返済を検討しやすいケース

以下のような場合は、繰り上げ返済を選択肢のひとつとして検討できます。

  • 生活費や今後必要になる資金を確保しても十分な余裕資金がある
  • 住宅ローンの残りの返済期間が長い
  • 借入金利が比較的高い
  • 定年前など、目標とする時期までに完済したい
  • 変動金利型を利用しており、今後の金利上昇による影響を抑えたい

特に残りの返済期間が長い場合は、繰り上げ返済による利息軽減効果が大きくなりやすい傾向があります。

繰り上げ返済を慎重に検討したいケース

一方、以下のような場合は慎重に検討しましょう。

  • 繰り上げ返済によって預貯金の残りが少なくなる
  • 教育費や住宅修繕費など、まとまった支出を控えている
  • 住宅ローン控除を利用している
  • 住宅ローンより金利の高い借入がある
  • 今後、収入が減少する可能性がある

特に、住宅ローンより金利の高い借入がある場合は、そちらを先に返済したほうが、家計全体の利息負担を抑えられる可能性があります。

繰り上げ返済を検討する際は、以下の項目を確認してみましょう。

確認項目 チェックする内容
金利 現在の適用金利や今後の金利変動
借入残高 あといくら返済する必要があるか
残りの返済期間 あと何年返済するのか
手元資金 繰り上げ返済後も十分な預貯金が残るか
今後の支出 教育費・住宅修繕費・車の購入費など
住宅ローン控除 控除額や適用要件(償還期間10年以上)への影響
その他の借入 住宅ローンより高金利の借入がないか

住宅ローンを繰り上げ返済するときの注意点

繰り上げ返済では、利息軽減効果だけでなく、税制や保障、住宅ローンの商品条件にも注意しましょう。

生活費や将来必要になる資金まで返済に充てない

繰り上げ返済した資金は、必要になったからといって返金することはできません。

病気や失業などへの備えに加え、以下のような将来必要になる資金も考慮しましょう。

  • 子どもの教育費
  • 車の購入・買い替え費用
  • 住宅の修繕費
  • 老後資金

「返済できる金額」ではなく、「返済後も家計に支障がない金額」を目安にすることが大切です。

住宅ローン控除への影響を確認する

住宅ローン控除を利用している場合は、繰り上げ返済による控除への影響も確認しましょう。

住宅ローン控除では住宅ローンの年末残高などをもとに控除額を計算するため、繰り上げ返済によって年末残高が減ると、控除額にも影響する場合があります。

また、住宅ローン控除の対象となる借入金には、償還期間が10年以上であることなどの要件があります。期間短縮型の繰り上げ返済によって、当初の返済開始から完済までの期間が10年未満となった場合は、住宅ローン控除を受けられなくなるため注意が必要です。

住宅ローン控除を受けている間は、利息軽減効果と控除への影響を比較して判断しましょう。

団体信用生命保険とのバランスも考える

住宅ローンでは、団体信用生命保険(団信)に加入しているケースがあります。

団信は、住宅ローン契約者が死亡した場合や所定の高度障害状態になった場合などに、保険金によって住宅ローン残高が返済される仕組みです。保障内容は、加入している団信によって異なります。

繰り上げ返済によって借入残高を減らすと、その分だけ団信の保障対象となる住宅ローン残高も小さくなります。家族構成や加入している生命保険なども含め、保障とのバランスを確認しましょう。

変動金利では繰り上げ返済後の返済計画を確認する

変動金利型では、金利が上昇すると支払う利息が増えます。

金融機関によっては、金利上昇によって毎月の返済額が急激に増えないよう、返済額を5年間変えない「5年ルール」や、見直し後の返済額をそれまでの125%以内とする「125%ルール」を設けています。七十七銀行でも、これらの仕組みを採用しています。

ただし、これらは金利の上昇そのものを抑える仕組みではありません。たとえば毎月の返済額が同じ10万円でも、金利が上昇すると、そのうち利息の支払いに充てられる金額が増え、元金の返済に充てられる金額が減る場合があります。その結果、住宅ローン残高が想定より減りにくくなる可能性があります。

そのため、金利上昇時に繰り上げ返済を検討する際は、現在の適用金利や借入残高を確認し、繰り上げ返済後の返済額や返済期間がどう変わるかをシミュレーションしておきましょう。

繰り上げ返済手数料を確認する

繰り上げ返済では、金融機関や手続き方法によって所定の手数料がかかる場合があります。

七十七銀行では、〈七十七〉ダイレクトサービスを利用して対象となる住宅ローンの一部繰り上げ返済または繰り上げ完済を行う場合、一部繰上返済手数料・繰上完済手数料は無料です。一部の商品や取引状況などによって利用できない場合があります。

窓口で手続きする場合には所定の手数料がかかる場合があるため、事前に確認しましょう。

金利上昇への対策は繰り上げ返済だけではない

金利上昇による住宅ローンの負担が気になる場合には、繰り上げ返済以外にも「金利タイプの見直し」や「借り換え」といった方法があります。

それぞれの特徴を確認し、自身の返済計画に合った方法を検討しましょう。

住宅ローンの金利タイプを見直す

変動金利型を利用していて今後の金利上昇が心配な場合は、固定金利へ変更する方法があります。

固定金利では、適用期間中は市場金利が上昇しても適用金利が変わらないため、返済額を見通しやすくなります。

一方、固定金利は一般的に変動金利より金利が高めに設定される傾向があるため、変更によって毎月の返済額が増える場合があります。変更前後の返済額を比較したうえで検討しましょう。

住宅ローンの借り換えを検討する

現在借り入れている金融機関から、別の金融機関への借り換えも選択肢のひとつです。

借り換えによって適用金利が下がれば、毎月の返済額や総返済額を減らせる可能性があります。また、変動金利から固定金利へ変更するなど、金利タイプを見直す目的で借り換えることもできます。

ただし、借り換えには融資手数料や登記費用、司法書士報酬などの諸費用がかかります。金利が下がっても、諸費用を含めると十分なメリットが得られない場合もあるため注意が必要です。

借り換えを検討する際は、以下の条件を比較し、諸費用を含めても返済負担を軽減できるか確認しましょう。

  • 借り換え前後の金利
  • 毎月の返済額
  • 総返済額
  • 借り換えにかかる諸費用
  • 金利タイプ
  • 残りの返済期間

住宅ローンの借り換えで、返済額がどのくらい変わるか確認してみませんか?

七十七銀行では、現在の住宅ローンを借り換えた場合の返済額を試算できる「住宅ローン借換えシミュレーション」を用意しています。

まとめ

住宅ローンの繰り上げ返済をすると元金を前倒しで減らせるため、将来支払う利息を軽減できます。

一方、金利が上昇しているからといって、必ずしもすぐに繰り上げ返済したほうがよいとは限りません。

適用金利や借入残高、残りの返済期間に加えて、住宅ローン控除、手元資金、今後の支出なども踏まえて判断しましょう。

また、金利上昇への対応方法には、金利タイプの変更や住宅ローンの借り換えもあります。それぞれの特徴を比較し、自身のライフプランや返済計画に合った方法を検討してください。

【七十七銀行 関連ページ】

※この記事は2026年9月現在の情報を基に作成しています。
今後変更されることもありますので、ご留意ください。

相談できる店舗を探す

この記事をシェアする

このカテゴリの記事一覧を見る