ローン【2024年変更あり】年末調整で住宅ローン控除の手続きをする方法

住宅ローン控除は、住宅ローン契約者の税負担が軽減される減税制度です。ただし、住宅ローンを組めば自動的に税金が軽減されるわけではありません。住宅ローン控除を受けるためには、毎年所定の手続きが必要です。住宅ローン控除を初めて受ける年は確定申告が必要ですが、会社員であれば2年目からは年末調整で手続きできるようになります。

本記事では、会社員が年末調整で手続きする方法をわかりやすく解説します。なお、会社や入居の年によっては年末調整の方法が異なるため注意が必要です。注意点とあわせて、年末調整の方法を見ていきましょう。

ファイナンシャルプランナー 宮里 恵(M・Mプランニング 代表)

ファイナンシャルプランナー 宮里 恵
M・Mプランニング 代表

保育士、営業事務の仕事を経て、ファイナンシャルプランナーに。
独身、子育て世代から定年後の方までお金に関する相談を受けて、16年目になります。
主婦FPとして、等身大の目線でのアドバイスが好評です。
家計・保険・老後、教育資金などの個別相談を主に、マネーセミナーも定期的に行っているほか、お金の専門家として、テレビ取材なども受けています。
人生100年時代の今、将来のための自助努力、今からできることを一緒に考えていきましょう。

住宅ローン控除は1回目確定申告、2回目以降は年末調整できる!

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、年末時点の住宅ローン残高の一定割合(0.7%~1%)の税金を軽減できる減税制度です。

基本的に所得税が軽減され、控除しきれない場合は翌年の住民税の一部から差し引かれるという仕組みです。会社員の場合は、毎月の給与から天引きされている所得税が還付され、条件によっては翌年の住民税が軽減されます。

ただし、税金の還付を受けるためには毎年手続きが必要です。住宅ローン控除の手続きは1年目(初回)と2年目(2回目)以降で内容が異なり、会社員の場合、2年目以降は年末調整で手続きできるようになります。

1年目は必ず確定申告が必要

住宅ローン控除を初めて受ける時は、会社員・個人事業主問わず、誰でも確定申告が必要です。確定申告をするのは、新住居に引っ越した年の翌年です。

なお、所得税の申告・納税を行う「確定申告」の期間は原則として2月16日~3月15日ですが、所得税の還付を受けるための「還付申告」であれば、翌年の1月1日から手続きできます。会社員の申告・納税は会社が源泉徴収などで行っているため、給与所得以外に申告すべき収入がなければ還付申告として手続きできます。確定申告時期を待つ必要はないため、翌年の1月になったらすぐに手続きを始めましょう。

確定申告(還付申告)の方法

確定申告の方法は以下の3つがあります。

  1. 手書き:税務署にある確定申告書(国税庁ウェブサイトから印刷した確定申告書でもOK)を手書きで作成し、必要な書類を添付のうえ税務署に持ち込み、もしくは郵送する。
  2. ウェブ作成:国税庁の確定申告書等作成コーナーで確定申告書を作成・印刷し、必要な書類を添付のうえ税務署に持ち込み、もしくは郵送する。
  3. 電子申告(e-Tax):国税庁の電子申告・納税システムであるe-Taxを使用して確定申告書を作成し、必要な書類を添付して電子送信する。

【監修者コメント】

マイナンバーカードを持っている場合、マイナポータルのアプリを入れることで、スマホで申請ができるので便利です。申請の仕方がよくわからない場合は、最寄りの税務署や、確定申告会場で聞きながら申請することもできます。

初年度の確定申告や住宅ローン控除の要件等については、以下の記事で詳しく解説しています。参考にしてみてください。
住宅ローン控除とは?2022年度税制改正後の制度内容を解説

会社員であれば2年目以降は年末調整できる

会社員の場合、一度住宅ローン控除の手続きをすれば、2年目(2回目)からは職場の年末調整で手続きできるようになります。ただし、書類の提出漏れや不備などがあって手続きできなければ、個別に確定申告(還付申告)しなければなりません。一般的に、年末調整による還付金の支払いは12月の給与支給日ですが、確定申告となると還付金の支給は翌年1月以降になります。

速やかに還付金を受け取るためにも、年末調整時期の前に必要書類を準備しておき、手続きを終わらせましょう。なお、自営業者の場合は年末調整という手続きがありません。2年目以降も、自身の所得について確定申告する際、あわせて住宅ローン控除の手続きをすることになります。

【2022年までに入居の場合】住宅ローン控除の年末調整に必要な書類

住宅ローン控除の手続きは入居年で異なります。ここでは、2022年までに住宅ローン控除対象の住居に入居した場合の必要書類を解説していきます。

住宅ローン控除で初回の確定申告を終えると、その年の10月頃に税務署から、10~11月頃には金融機関から、確定申告に必要な書類が以下のとおり送付されます。

  1. 【税務署から送付】住宅ローン控除申告書 兼 控除証明書
  2. 【金融機関から送付】住宅ローン年末残高証明書

年末調整ではこの2つの書類が必要になるため、書類が届いたら12月の年末調整時期まで大切に保管しておいてください。

なお、一部企業においては、住宅ローン控除を含む年末調整関連の手続きが電子化されています。その場合は従来の方法である手書きではなく、パソコンやスマホで手続きを行います。会社によっては電子化の導入有無は異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。

手書きの必要書類1.住宅ローン控除申告書 兼 控除証明書

税務署から送付される「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 兼 (特定増改築等)住宅借入金等特別申告書(以下「控除申告書」」のことです。平成24年(2012年)6月以降に送付されるものは証明書と申告書が兼用になっています。1枚の用紙の上部が控除申告書で、下部が控除証明書です。

控除申告書は、初回の確定申告を終えた年の10月頃、税務署から残り9年~12年分の書類がまとめて送付されます。記入例もついているため、紛失しないように保管に気をつけてください。

手書きの必要書類2.住宅ローン年末残高証明書

住宅ローンを借りた金融機関から圧着ハガキで送付される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(以下「残高証明書」)」のことです。初回の確定申告を終えた年の10月~11月頃に送付されるのが一般的ですが、詳しい発送時期はあらかじめ金融機関に確認しておくといいでしょう。

なお、残高証明書の発行後に繰り上げ返済や借り換えなどをすると、年末時点の住宅ローン残高が変わります。住宅ローン残高が変わる場合は、残高証明書の再発行依頼をして、正しい残高を証明するものを用意しなければならないので注意しましょう。

手書きの書類を紛失してしまったら早めに再発行手続きを

万が一、手書きの書類を紛失してしまった場合は、再発行依頼をしてください。
控除証明書は税務署に、残高証明書は住宅ローン借入先の金融機関に依頼すれば再発行してもらえます。

ただし、書類の発行には1~2週間程度かかるため、場合によっては会社の年末調整期間に間に合わない可能性があります。提出が間に合わなければ、自分で確定申告(還付申告)しなければなりません。また残高証明書については、金融機関によって再発行手数料がかかるケースがあります。発行にかかる時間も手数料も金融機関によって異なるため、紛失の際はあわせて確認するようにしてください。

【電子化の場合】パソコンやスマホで作成し、データで提出

画像引用元:国税庁「年末調整手続の電子化について-従業員準備編-」

政府によるDX推進によって、年末調整の電子化が進んでいます。2023年時点では一部の企業において電子化が義務になっているため、会社によってはデータ提出で住宅ローン控除の年末調整手続きをすることになります。

電子化による主な変更点は、以下のとおりです。

  • 金融機関や税務署から紙で送付されていた書類をデータで取得する(※ただし金融機関によっては残高証明書のデータ発行に対応していない場合も)
  • 国税庁が提供する「年調ソフト」を利用して年末調整の書類をパソコンやスマホで作成し、勤務先にデータで提出する

データ提出と聞くと難しいイメージがありますが、電子化されれば各書類から必要事項が自動入力されるため、控除額の計算が不要になります。

年調ソフトの利用準備を行うといった手間は発生しますが、手書きよりも記入内容に悩むことは少なくなるでしょう。電子化の詳細は、会社の担当者に確認してみてください。

【2022年までに入居の場合】住宅ローン控除の年末調整書類を手書きする際の書き方

ここでは、2022年までに住宅ローン控除対象の住居に入居した場合の、手書き書類記入の書き方を解説します。年末調整の際に記入が必要な用紙は、以下の控除証明書です。

<控除証明書の見本>

画像引用元:国税庁
※上記は令和4年分のものであり、発行年度によって書類様式が異なる可能性があります。

  • 上半分:住宅借入金等特別控除申告書 兼 計算明細書
  • 下半分:住宅借入金等特別控除証明書

記入前に、まず今年のものか年度を確認してください。2023年分であれば「平成35年分」または「令和5年分」と印字されています。申告年度によって用紙が異なるため、確認したうえで書き始めるようにしてください。

確認できたら、金融機関からの残高証明書と税務署から送付される記入例に沿って記入を進めていきます。記入後はスマホで写真を撮って保存しておけば、翌年度の書類記入時に役立ちます。

なお、住宅ローンを連帯債務で借りている場合は単独債務の人と記入内容が異なります。借入状況によって記入ポイントは変わってくるため、初めての記入時はウェブ上で方法を確認するよりも、対面のサポートを得られる場所に行くことをおすすめします。

会社によっては、総務・人事労務担当が記入をサポートしてくれます。会社でわからなければ、税務署に確認してみてください。

【2023年以降入居の場合】2024年から住宅ローン控除の手続きが変更になる

令和4年度(2022年度)の税制改正により、住宅ローン控除の控除率が1%から0.7%に改正されたことが大きな話題になりました。実はその改正に伴い、控除手続きも改正されます。これにより、【2023年以降に住宅ローン控除対象の住宅に入居した人】が【2024年1月以降に行う住宅ローン控除の手続き】は、これまでと内容が変わります。

主な変更点は、残高証明書の添付と証明書からの転記が不要になることです。

2024年以降の住宅ローン控除手続きは何が変わる?

2022年までに入居した人の手続きでは、金融機関から送付される残高証明書を元に、住宅ローン契約者自身が控除申告書に残高内容等を転記する必要がありました。

しかし、2023年以降に入居した場合、2024年以降の住宅ローン控除手続きはより簡素化されます。2024年以降は、住宅ローン契約者が残高証明書を添付したり、残高証明書の内容を元に申告書に転記したりといった作業が不要になります。転記作業が不要になることで、書類の記入漏れや間違いといった不備を防ぎやすくなるのではないでしょうか。

2024年以降の住宅ローン控除手続きの流れ

2024年以降の住宅ローン控除手続きは、以下の流れに変更されます。

  1. 初年度:住宅ローン契約者が「氏名」「住所」「個人番号」等「申請事項」を記載した住宅ローン控除の「適用申請書」を金融機関に提出する
  2. 適用申請書の提出を受けた金融機関は、住宅ローン控除の期間中、毎年10月31日まで(申請書の提出を受けた初年度は翌年の1月31日まで)に、申請事項や年末のローン残高等を記載した調書を作成し、管轄の税務署に提出する
  3. 税務署は、初年度は1月末ごろまでに、2年目以降は11月末ごろまでに年末のローン残高等の情報が記載された控除証明書を住宅ローン契約者にe-Taxで電子送信する
  4. 会社員は税務署から受け取った控除証明書を用いて手続きする(初年度は確定申告、2年目以降は年末調整)

なお、改正後には原則として、控除証明書の受取りは国税庁の電子納税・申告システムであるe-Taxを通じて行います。

e-Tax利用が難しい場合は引き続き紙での受け取りも可能になるそうですが、詳細はまだ公表されていません。年末調整の電子化も進む中、今後は各方面で手続きが変わっていく可能性があるため、手続きの変更については注視しておいてください。

【注意】実際の手続き変更時期は金融機関によって異なる

2022年の税制改正により、2024年以降は手続きが変更されることになりました。しかし金融機関によってはシステム対応が間に合わない可能性があるため、経過措置が設けられています。

したがって、2024年以降は従来どおりの手続きになる人、改正後の手続きになる人と分かれます。2023年以降に入居した人は対応についてどうなるのか、住宅ローン借入先の金融機関に必ず確認しておいてください。

まとめ

住宅ローン控除で税金の軽減を受けるには、毎年控除手続きをする必要があります。会社員の場合、初年度の確定申告を終えた後は会社の年末調整で手続き可能です。

2023年現在、年末調整の手続きは会社の規模や入居年によって異なります。会社の規模によっては年末調整の電子化が義務となっており、書類は手書きではなくデータで提出の可能性もあるので、提出方法はお勤めの会社に確認してみてください。

また、2023年以降に対象の住宅に入居した場合は2024年から手続きが簡素になりますが、金融機関によっては2024年も従来通りの手続きになる可能性があります。このように、住宅ローン契約者によって手続き方法が微妙に異なるため、まずは会社や金融機関、税務署等に確認したうえで手続きを進めましょう。

【監修者コメント】

住宅ローンを利用して住宅を取得した場合、条件を満たせば住宅ローン減税を受けることができます。
忘れずに手続きをして還付申請をしましょう。

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【参考サイト】

※この記事は2023年9月現在の情報を基に作成しています。
今後変更されることもありますので、ご留意ください。

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