将来のためにお金を貯める必要があるとわかってはいるものの、思うように貯蓄ができずに悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
貯蓄をするために食費や水道光熱費、娯楽費などを無理に削ろうとしても、長続きせずに挫折をしてしまうでしょう。お金を貯めるためには、お金の貯め方を知り、日ごろの生活で実践していくことが重要です。
そこで本記事では、今日から始められるお金の貯め方やお金が貯まらない理由などをわかりやすく解説します。支出を減らすコツや手取り収入を増やす方法もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
お金を貯める目的は「病気になったときに備えたい」「子どもの進学資金を準備したい」「老後生活に備えたい」など、人それぞれです。金融広報中央委員会の調査によると、預貯蓄や株式などの金融資産を保有する目的は、以下の通りとなっています。
金融資産の保有目的 | |
---|---|
二人以上世帯 |
|
単身世帯 |
|
※出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和3年調査結果」「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和3年調査結果」 ※アンケートは複数回答可
二人以上世帯と単身世帯のどちらも、金融資産の保有目的として「老後の生活資金」と答えた人の割合がもっとも多い結果となりました。「病気や不時の災害への備え」が次いで多い点も同じです。
一方で、3番目に多かったのは、二人以上世帯が「子どもの教育資金」であるのに対し、単身世帯は「とくに目的はないが、金融資産を保有していれば安心」と異なっています。
調査結果が示す通り、多くの人が将来のライフイベントや不測の事態などに備えるために貯蓄をしています。ここでは、貯蓄をしたほうが良い主な理由をみていきましょう。
人生では、お金がかかるさまざまなライフイベントが発生します。中でも、子どもの教育や老後生活、マイホームの購入では、一般的に多額の資金が必要です。
もし、老後生活を迎えるまでにまとまった金額の貯蓄がない場合、国からの年金だけでは生活が苦しくなり、希望するライフスタイルが実現できない可能性があります。
また、教育資金を積み立てていなければ、子どもが希望する進路に進むための資金が足りず、断念せざるを得なくなるかもしれません。
多額の資金を短期間で準備するのは困難です。ライフイベントが発生したときに資金が不足し、希望が叶わなくなる事態を防ぐためには、計画的に貯蓄をしておくことが大切です。
「交通事故にあって足を骨折した」「重い病気になって入院と手術が必要になった」などの事態になると、医療費の支払いが発生します。病気やけがの程度によっては、働けなくなって収入が減少してしまう恐れもあります。
また「短期間で複数回の結婚式に出席することになった」「家電が壊れて買い直しが必要になった」などの理由で、お金が必要になるかもしれません。
貯蓄をしていれば、急な出費が発生したり収入が減少したりしたときに、家計を圧迫しにくくなります。不測の事態が起こってお金が必要になったときのために、ある程度の現金は貯めておくとよいでしょう。
貯蓄がないと、突然のリストラや残業時間の制限、ボーナスの削減などの理由で収入が減った途端に生活が苦しくなりやすいです。お金に困り借金をしてしまうと、返済が負担となりさらに家計を圧迫してしまいかねません。
貯蓄がないことで収入の減少に対する不安が大きくなると、心にゆとりがなくなりやすくなってしまうでしょう。
その点、まとまった貯蓄があれば収入が減ったとしても、当面は生活に困らなくて済むため、心にゆとりが生まれやすくなります。
ここで、金融広報中央委員会が行った調査をもとに、貯蓄額の平均と中央値をご紹介します。中央値とは、データを小さい順番に並べたときにちょうど真ん中に位置する値であり、平均値よりも実態に近い結果になるといわれています。
まずは、二人以上世帯の貯蓄額をみていきましょう。
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
20歳代 | 212万円 | 63万円 |
30歳代 | 752万円 | 238万円 |
40歳代 | 916万円 | 300万円 |
50歳代 | 1,386万円 | 400万円 |
60歳代 | 2,427万円 | 810万円 |
70歳代 | 2,209万円 | 1,000万円 |
※出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和3年調査結果」
調査結果をみると、年齢が上がるほど貯蓄額は増える傾向にあります。特に60歳代以降は、平均貯蓄額が2,000万円を超える結果となりました。
一方でどの年代も、貯蓄額の平均値と中央値に大きな差があります。これは、一部の富裕層が平均額を大きく引き上げていることが要因でしょう。そのため、実態としては50歳代や60歳代の多くは、金融資産保有額が1,000万円未満であると考えられます。
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
20歳代 | 179万円 | 20万円 |
30歳代 | 606万円 | 56万円 |
40歳代 | 818万円 | 92万円 |
50歳代 | 1,067万円 | 130万円 |
60歳代 | 1,860万円 | 460万円 |
70歳代 | 1,786万円 | 800万円 |
※出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和3年調査結果」
単身世帯においても、年齢の上昇にしたがって貯蓄額が増える傾向にあるだけでなく、平均値と中央値に大きな差がみられます。
一方で、二人以上世帯よりも金融資産保有額は全体的に少ない結果となりました。特に中央値は、20歳だけでなく30歳代や40歳代も100万円を下回っています。
お金が貯まらない人には、以下のような特徴があると考えられます。
貯蓄をするためには、家計を適切に管理しなければなりません。そのため、ひと月の収入や支出を把握できておらず使った理由が不明なお金が多いと、口座の残高はなかなか増えていかないでしょう。
また、予算を決めることなく衣服や家電などを衝動買いすることが多い人は、支出が膨らみやすいです。たとえ1回あたりの支払金額が安くても、購入する回数が多いと、支出は大きくなります。
残ったお金を貯蓄に回そうと考えている人は、ある分だけお金を使ってしまい、結局は貯蓄する分が残らないことがあります。貯蓄ができたとしても、毎月の貯蓄額が不安定になりやすいです。
夫婦共働きの場合は、財布を別々にして食費や住居費などの分担だけを決めていると、お金が貯まりにくくなります。「相手が貯めてくれているだろう」と考えていても、実は1円も貯まっていないというケースもあります。
お金が貯まらない理由は人によって異なるため、まずはご自身のお金の使い方を振り返ることが大切です。
貯蓄では、お金が貯まりやすくなる仕組みを作ることが重要です。ここでは、今日から始められるお金の貯め方を3つご紹介します。
生活費を引き出す口座と貯蓄口座を同じにしていた場合、口座にあるお金をついつい使ってしまってなかなか貯められないかもしれません。そこで、お金を貯めるときは、生活口座、貯蓄口座、緊急資金口座の3つに分けて管理をすることをおすすめします。
それぞれの口座の役割は、以下の通りです。
毎月の給与は、生活口座に振り込まれるようにするとよいでしょう。給与が生活口座に振り込まれたら、貯蓄口座と緊急資金口座にお金を移すことで、ついついお金を使ってしまうリスクが抑えられ、自然とお金が貯める仕組みができます。
先取り貯蓄とは、その名の通り給与が振り込まれたら、あらかじめ決めた金額を貯蓄し、残りで生活をする方法です。
たとえば、収入の2割を貯蓄する場合、手取り収入が25万円であるのなら、その2割である5万円を先に貯蓄口座へ移しておき、残りの20万円から食費や住居費などを支払います。
貯蓄口座へお金を移すのが面倒なのであれば「自動積立定期預金」を利用するのも方法です。自動積立定期預金を利用すると、毎月1回、希望する金額を普通預金口座から定期預金口座へと自動で移してくれます。
また、勤務先が「財形貯蓄」や「社内預金制度」を実施していないか確認をしてみましょう。財形貯蓄や社内預金制度を利用すると、給与天引きで積立ができます。
夫婦の財布が別々であると、お金は貯まりにくいです。かといって、夫婦の財布をまとめると、貯蓄がしやすくなる反面、お金が自由に使えないことでストレスを感じるかもしれません。
そこでおすすめしたいのが、夫婦の財布の一部のみを共通にすることです。これは、夫婦共通の財布を作り、それぞれの財布から毎月一定金額を入れる方法です。
食費や住居費、水道光熱費などの支払いや貯蓄は共通の財布で行い、残りは夫婦それぞれのお小遣いとすることで、ストレスを抑えながらお金を貯められるでしょう。
毎月の支出を見直すことで、さらにお金は貯まりやすくなります。ここでは、支出を減らすコツを3つご紹介します。
毎月の支出を把握していない人は、家計簿を付けることから始めましょう。家計簿を付けて自分自身が毎月いくらを使っているのか把握することで、無駄な支出を見直して家計を改善しやすくなります。
2022年11月現在は、スマートフォンの家計簿アプリを活用すると、比較的簡単に家計簿を付けられるようになりました。銀行口座やクレジットカードなどをアプリに連携するだけで、利用明細をもとに支出項目を予測し、自動的に家計簿を付けてくれます。
毎月の支出を減らしたい場合は、家賃や携帯電話代、保険料、サブスクリプション代などの固定費から見直すのが有効です。固定費を一度見直すと、節約効果が長く続くためです。
たとえば、携帯電話の料金プランを安いものに変更したり、格安SIMと呼ばれる通信キャリアに乗り換えたりすると、毎月の通信費を大幅に削減できる可能性があります。
生命保険の保障内容を長年にわたって変えていないのであれば、見直しをしてはいかがでしょうか。見直しをして、適切な保障内容にすると保険料負担を抑えられることがあります。
住宅ローンやマイカーローンなどを返済している人は、借り換えをするのも方法です。金利が低いローンに借り換えることで、毎月の返済負担を減らせる可能性があります。
借り換えを検討するときは、手数料や税金などの諸費用を考慮することが大切です。たとえ金利が低いローンに借り換えたとしても、諸費用を差し引くとあまり金銭的なメリットを得られないことがあります。
そのため、ローンを借り換える際は、金融機関のホームページなどで借り換えのシミュレーションをしてメリットがあるかどうかを確認するのが有効です。また、金融機関の担当者やファイナンシャルプランナーなどに試算をしてもらうのも方法でしょう。
お金を貯めたいのであれば、支出を削るだけでなく手取り収入が増やせないか考えることも大切です。ここでは、手取り収入を増やす方法を4種類ご紹介します。
所得税や住民税は、1年間の所得から所得控除を引いた残りである課税所得金額に税率をかけて計算します。所得控除の金額が大きいほど、課税所得金額が少なくなるため、所得税や住民税の負担を軽減することが可能です。
所得控除のなかには、年末調整や確定申告で手続きをしないと受けられないものがあります。代表的なものは、以下の通りです。
生命保険料控除 | 生命保険や医療保険などに加入をして保険料を支払っている人が受けられる所得控除 |
---|---|
地震保険料控除 | 地震保険の保険料を支払っている人が受けられる所得控除 |
小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの掛金を支払っている人が受けられる所得控除 |
※所得控除を受けるためには、制度ごとに定められた要件を満たす必要があります
申告をしていない所得控除があると、所得税や住民税を本来よりも多く払いすぎることになり、手取り収入が減ってしまいます。そのため、ご自身が受けられる所得控除は適切に申告をすることが大切です。
クレジットカードの多くは、支払いに利用するとポイントを獲得できます。獲得したポイントは「クレジットカードで利用した金額の支払いに充てる」「商品券や家電などと交換する」など、お金と同等の使い方ができます。
そのため、クレジットカードのポイントを多く獲得できれば、家計への負担を軽減できさらにお金が貯まりやすくなるでしょう。
クレジットカードを選ぶときは、還元率を比較するとよいでしょう。還元率は、クレジットカードの利用金額に対して、何円に相当するポイントを獲得したのかを表す割合です。
還元率が高いクレジットカードに支払いをまとめたり、還元率がアップするキャンペーンを活用したりすることで、効率的にポイントを獲得しやすくなります。
着なくなった服や使わなくなった電化製品などの不用品があるのなら、フリマアプリで売却するとよいでしょう。
リサイクルショップや買取業者に買い取ってもらうのであれば、商品の梱包や発送をする手間などを省きやすいです。しかし、品物に使用感があると低額での買取となったり、買取を拒否されたりするケースがあります。
その点、フリマアプリであれば、使用感がある商品でも購入をしてもらえるケースがあります。あまり使用感がないのであれば、品物によっては高値で売却することも可能です。
収入源を増やしたいのであれば、クラウドソーシングというサービスを利用して、副業を始めるのも方法です。
クラウドソーシングには、Webライティングや動画編集、データ入力、デザイン、翻訳など、さまざまな仕事が募集されています。ご自身の職務経験やスキル、保有資格などを生かせる仕事を受注できれば、隙間時間を使って効率的にお金を稼ぐことができるでしょう。
ただし、就業規定で副業が禁止されている場合、勤務先に内緒で仕事を受注するとトラブルになるかもしれません。そのため、副業を始める際は必ず就業規定を確認し、必要に応じて勤務先に相談や申請をすることが大切です。
貯蓄をする習慣が身に付いてきたら、資産運用をはじめてはいかがでしょうか。投資信託をはじめとした金融商品を運用することで、より効率的に資産を増やせる可能性があります。
金融商品による資産運用を始める際は「iDeCo」や「つみたてNISA」を活用することをおすすめします。
つみたてNISAは、毎月一定金額を投資信託などの商品で積み立てていく「積立投資」による運用益が非課税となる制度です。金融商品の運用で利益を得た場合、本来であれば20.315%の税金が課せられますが、つみたてNISAの口座で取引していたのであれば税金はかかりません。非課税投資枠は年間40万円、非課税で運用できる期間は最長20年です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、毎月掛金を支払って投資信託や保険などで運用をし、将来の年金を自分自身で積み立てる制度です。運用益が非課税となるだけでなく、掛金のすべてが所得控除の対象であるため、所得税や住民税の負担を軽減できる可能性があります。
お金を貯めるときは「複数の口座を使い分ける」「先取り貯蓄をする」「夫婦の共通の財布を作る」などの仕組みを作ることが大切です。その上で、支出を抑えたり収入を増やしたりすることで、自然とお金は貯まっていくでしょう。
とはいえ「何から始めてよいかわからない」「自分自身に合った貯め方がわからない」などの悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
七十七銀行では、貯蓄や資産運用などお金に関するさまざまなご相談を承っております。お金が貯まらずにお悩みの方は、七十七銀行までお気軽にご相談ください。
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※この記事は2022年11月現在の情報を基に作成しています。
今後変更されることもありますので、ご留意ください。