小学生や中学生の子どもがいると「いくらのお小遣いを渡したらよいのだろうか」「いつからお小遣いを渡せばよいのだろうか」と悩む人も多いのではないでしょうか。
子どもが学習することや養われる能力などに影響するため、お小遣いの金額や渡すタイミング、渡し方などはよく考えて決めることが重要です。
本記事では、子どもがいる家庭のお小遣い事情や渡し方を決めるときのポイントなどをわかりやすく解説します。
目次
まずは株式会社ラボネットワークが行ったアンケート調査をもとに、子どもがいる家庭のお小遣い事情をみていきましょう。
アンケート調査は、同社が提供するスクールフォト販売サイト「スナップスナップ」に登録している子育て世帯の父親や母親、4,831名を対象に実施されたものです。
アンケートによるとお小遣いをあげている人の割合は、以下のとおりです。
※出典:株式会社ラボネットワーク「【子育て世代】のママ/パパたちに聞いた!おこづかい事情2022」
子どもにお小遣いをあげている人の割合は3割程度であり、あげていない人のほうが多数派となる結果でした。
では、子どもにお小遣いを渡している人は、いつから渡し始めたのでしょうか。
同調査によると、子どもが7歳(小学1年生)のときからお小遣いを渡し始めた人が30.5%と最も多い結果となりました。次いで多いのが、10歳(小学4年生)の13.0%です。
3番目に多かったのが、13歳(中学1年生)の12.9%でした。中学校に進学するまでお小遣いをあげていない家庭もあることがわかります。
続いて、お小遣いをあげる頻度をみていきましょう。
お小遣いを「毎月あげている」と回答した人の割合は74.8%であり、次いで「必要となった場合のみ都度」の13.6%という結果でした。お小遣いをあげる頻度としては、毎月が一般的であると考えられます。
一方で、決まったタイミングではなく「お手伝いをしたとき」や「テストの点数に応じて」など、子どもの働きや成果に応じてお小遣いを渡している家庭もありました。
お小遣いの平均金額は、小学1年生(7歳)が506円、小学4年生(10歳)が1,020円、中学1年生(13歳)が1,941円。傾向としては、学年が上がるほどお小遣いの金額が増えているといえます。
お小遣いのあげ方については「現金」が93.2%と大半を占める結果となりました。その一方で4.4%が「電子マネー」で渡していると回答しています。キャッシュレス決済の普及にともない、電子マネーでお小遣いを渡す家庭もあるようです。
また、電子マネーでお小遣いを渡している人の約半分が、QRコード決済である「PayPay」を利用していると答えました。
「そもそもお小遣いをあげたほうがよいのだろうか」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
子どもがお金を使える年齢になったのであれば、なるべくお小遣いを渡すようにするとよいでしょう。お小遣いを渡すことには、以下のメリットがあるためです。
子どもにお小遣いを渡し、欲しいものがあればその中から購入してもらうことで、お金を管理する能力を養えます。幼いころから自分自身でお金を管理する習慣を身につけ、金銭感覚を磨いておくことで、大人になった後も家計の管理がしやすくなるでしょう。
また、買いたいものがあるが毎月のお小遣いでは足りない場合などの値上げ交渉や、なぜそれが欲しいのか子どもに説明してもらうようにすると、交渉能力も磨かれていきます。
子どもにお小遣いをあげる主な方法には、決まったタイミングで渡す「定額性」と、成果があるたびに渡す「報酬制」があります。また、その両方を併用するのも選択肢の1つです。
ここでは、定額制と報酬制またはそれらを併用する場合のメリットとデメリットをみていきましょう。
定額制は「毎月〇〇円」のように、お小遣いを渡すタイミングと金額を決める方法です。
定額制の場合、欲しいものの金額がお小遣いの額を大幅に上回っている場合は、お金を貯めなければなりません。「5か月後に1,000円のものを買うために毎月200円ずつ貯める」のように、お金の使用を我慢して計画的に貯蓄する力が身につきやすいです。
また、渡すタイミングと金額が決まっていると、親は家計の管理がしやすいでしょう。子どもに計画的にお金を使う感覚を身につけさせたい家庭や、家計の管理を少しでも楽にしたい家庭は、定額制がおすすめです。
一方で決まった日になるとお金をもらえるため、お金の大切さを理解しにくいかもしれません。基本的にお金は労働で得られるものです。お金が親の労働の対価であること、無限に手に入れられるものではないことを子どもに理解させる必要があります。
報酬制は「お風呂掃除をしたら10円」「テストで100点を取ったら100円」のように、子どもの働きやがんばりの対価としてお小遣いを渡す方法です。
「お金は働いて得るもの」であることを教えやすいのが、報酬制の主なメリットです。また、欲しいものを買うために、積極的にお手伝いをしたり自主的に勉強に励んだりするようになる可能性もあります。
働かないとお金を得られないことを教えたい家庭や、積極的にお手伝いや勉強などをするようになってほしいと考える家庭は、報酬制にするとよいでしょう。
報酬制のデメリットとしては、お金をもらえないとお手伝いや勉強などをしなくなる恐れがある点が挙げられます。お手伝いをすることやテストで高得点を取ることが当たり前と考える家庭には、報酬制は不向きと考えられます。
定額制と報酬制のどちらかを決めかねるのであれば、併用をするのも方法です。たとえば「毎月のお小遣い500円+お手伝いをするたびに200円」のように、定額部分と報酬部分の両方を決めます。会社員でいう「固定給+歩合給」にあたる考え方になります。
定額制と報酬制を組み合わせることで、両方のメリットを得られます。計画的にお金を使う感覚を養いながら、お金が労働の対価として得るものであることも学べるでしょう。
ただし、お小遣いをあげすぎる可能性が高まる点には注意が必要です。お小遣いをあげすぎると子どもの金銭感覚が狂ってしまいかねないため、定期的にあげる金額と報酬としてあげる金額のバランスはよく検討する必要があります。
続いて、お小遣いの金額やタイミングなどの決め方を解説します。
タイミングや決め方について、編集部が小学生や中学生の子どもがいる家庭を対象に行った調査の結果も交えて紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
まずは、お小遣いの金額や渡すタイミングを家族で話し合って決めます。お小遣いの金額については、文房具や本、お菓子など子どもが購入するものをもとに検討するとよいでしょう。
また、現金とキャッシュレスのどちらで渡すのかも考えます。特にこだわりがないのであれば、現金で渡すのがおすすめです。現金のほうが「お買い物をするとお金が減る」ということを実感しやすいためです。
一方で「子どもが電車やバスを頻繁に利用する」「アプリの利用明細で管理したい」などの場合は、キャッシュレスでお小遣いを渡しても問題ありません。
渡すタイミングを決めるときは、渡し方をもとに決めます。たとえば、定額制にするのであれば、お小遣いをあげるタイミングは「月に1回」や「1年に1回」などが選択肢となります。報酬制の場合、お小遣いをあげる基準とするお手伝いの内容やテストの点数などを考えます。
では、小学校や中学校の子どもがいる家庭は、実際にどのようなタイミングでお小遣いを渡しているのでしょうか。またお小遣いをあげていない家庭ではどうしているのでしょうか。
2022年9月に編集部が行った独自調査の結果をご紹介します。質問内容は「お小遣いをあげているか?」「お小遣いをあげている(またはあげていない)内容や理由を教えてください」の2つです。
【小学生の子どもがいる家庭の回答結果から抜粋】
お小遣いをあげているか | 理由と内容 |
---|---|
はい | 自分でお金の管理ができるようになって欲しいので、小学4年生から毎月1000円を現金で渡しています。 |
自分から進んでお手伝いをしてもらうためにバイト制にしました。食器洗いやゴミ出し、洗濯物、お風呂掃除などに応じて金額を設定しています。渡す金額は、毎月1,000円程です。 | |
いいえ | まだ低学年であり必要なものは親が買うことにしています。高学年になったらお小遣いを渡す可能性はあります。 |
まだ小学2年生で、お金の管理ができないと思っているので渡していません。来年あたりから毎月決まった金額を渡したいと考えています。 |
※必要なときにその都度わたしている人を、「いいえ」に分類しております。
「お金の管理方法を学んで欲しい」「積極的にお手伝いをするようになってほしい」などの理由で、お小遣いを渡しているという回答が多くみられました。金額については、数百円〜数千円と人によって異なります。
一方で、毎月決まった金額を渡すのではなく、必要になったタイミングという家庭も少なくありません。
中学生の子どもがいる人にも同様の質問をしたところ、以下のような回答結果となりました。
【中学生の子どもがいる家庭の回答結果から抜粋】
お小遣いをあげているか | 理由と内容 |
---|---|
はい | 毎月5,000円のなかで必要なものを買ってもらい、高価なものは相談して決めます。 |
基本は月5,000円渡してやりくりしてもらっていますが、友達と出かけるときは、交通費のチャージ分や買う予定のものを聞いて、その分必要な金額を加味して別途渡しています。 | |
いいえ | 毎月決まったお小遣いは渡していません。必要なときに金額を話し合って決め、その都度渡しています。 |
本人が特にほしがらないため、お小遣いという形ではあげていません。友達と遊びに行く時などに渡し、残りはとっておいてもらっています。 |
お小遣いの金額は、3,000円や5,000円など小学生の子どもがいる人よりも高い傾向にあります。また、子どもがスマホを持っている家庭では現金ではなくキャッシュレスでお小遣いを渡している人もいました。
一方で、子どもが中学生になった後も定期的なお小遣いをあげずに、テストの結果が良かったときや必要になったときなどに渡している人もいるようです。
お小遣いの金額が決まったら、使ってもよい金額と最低限貯める金額を決めておくとよいでしょう。たとえば、お小遣いが1,000円であれば「700円を使って300円は貯める」のように決めることで、一定金額を貯蓄する習慣が身につきます。
使ってもよい金額は、鉛筆や消しゴム、ノートなどの文房具を含めて考えるのも方法です。お小遣いの範囲で文房具を買ってもらうことで、親が買い与える場合よりも大切に使ってくれる可能性があります。
続いて、お小遣いの使い道を親に報告する方法を決めます。
購入したものや使った金額、日付、残高のすべてを子どもが記憶しておくのは困難です。そのため、可能であれば子どもにお小遣い帳を付けてもらうとよいでしょう。
慣れないうちは、残高を計算せずに購入したものや使った金額、日付のみを記載してもらうだけでも、子どもがお小遣いを何にいくら使ったのかを把握できます。
子どもが幼くお小遣い帳を付けるのが困難な場合は、使う度に口頭で報告してもらうのも方法です。子どもの成長度合いに応じて、適切な方法を選びましょう。
お小遣いを渡して終わりにするのではなく、定期的に振り返りをする機会を設けましょう。何にいくら使ったのか、お買い物をしてどのように感じたのかなどを聞き、疑問や悩みなどがあれば必要に応じてアドバイスをします。
「決めた金額を貯められなかった」「必要のないものを買ってしまった」などの失敗をすることもあるはずです。こうした失敗の経験をして、子ども自身に改善策を考えてもらうことで、お金の使い方は自ずと上達していくでしょう。
子どもにお小遣いを渡すことで、計画的にお金を管理する能力や交渉力などを身に付けられる可能性があります。お小遣いの管理を通じて得た能力は、大人になり自分自身で働いて得たお金で生活をするようになったときにきっと役に立つはずです。
お小遣いの金額やタイミング、渡し方などに正解はありません。子どもに学んでほしいことや生活背景などを踏まえて、ご家庭に応じたルールを決めることが大切です。
【七十七銀行 関連ページ】
【参考サイト】
※この記事は2022年10月現在の情報を基に作成しています。
今後変更されることもありますので、ご留意ください。