2022年6月現在の日本では、超低金利が続いています。教育資金や老後資金などを預貯金のみで準備するのは難しくなってきており、資産運用をする必要性が高まっています。
とはいえ、資産運用の必要性は理解しているものの、どの方法で始めればよいかわからない人も多いのではないでしょうか。資産運用にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴やリスク、リターンが異なるため、よく理解したうえでご自身に合ったものを選ぶことが大切です。
この記事では、資産運用の種類や特徴、リスクなどをわかりやすく解説します。
目次
資産運用は、基本的にリスクをともないます。リスクとは、利益と損失の振れ幅のことです。リスクが大きいほど、高い利益が期待できる一方で、大きな損失を負うこともあります。
まずは代表的な資産運用の種類と特徴やリスクを確認し、ご自身に合った運用方法を考えてみましょう。
銀行や信用金庫などの預貯金口座にお金を預けることも、資産運用の一種です。預貯金口座は、銀行や信用金庫などの窓口またはインターネットで開設が可能です。
預貯金は、資産状況にかかわらず始められるもっとも身近な運用方法であり、リスクも低いですが、その一方で高いリターンは期待できません。
預貯金の魅力は、必要なときにお金をすぐに引き出せる流動性の高さです。また、金融機関が経営破綻しても、預金保険制度により預金者1人あたり元本1,000万円とその利息が保証されます。このような安全性の高さも、預貯金の主な特徴です。
ただし、預貯金にもリスクはあります。代表的なのが「インフレリスク」です。インフレリスクとは、物価の上昇(インフレーション)によって貨幣価値が下がり、預貯金口座にあるお金の価値が目減りすることです。
2022年6月現在は、低金利の影響もあり、預貯金口座にお金を長期間預けていても増えにくくなっています。
外貨預金は、米ドルやユーロなどの外貨で預金をすることです。外貨預金口座は、銀行や証券会社で開設が可能です。外国通貨への交換をともなうこと以外は、基本的に円預金と仕組みが同じであるため、投資経験がない人でも始めやすいでしょう。
外貨預金の特徴は、日本よりも金利が高い国の外貨で預金をするとより多くの利息を得られる可能性がある点です。また為替レート次第で、利益が発生することがあります。
為替レートは、異なる種類の通貨を交換するときの交換比率です。たとえば、1ドル120円のときに外貨預金を始めた場合、1ドル125円の円安になったタイミングで払い戻しをすると、1ドルにつき5円の利益を得られます。
一方で1ドル115円の円高になったときに払い戻すと、1ドルにつき5円の損が発生します。外貨預金には為替リスクがあるため、為替差による損失を避けるためには、為替レートを確認して払い戻すタイミングを考えることが重要です。
また外貨預金には、預金保険制度による元本保証がないため、金融機関が倒産したとき、外貨預金口座にあるお金は保護されません。
生命保険は、保険をかけられている人(被保険者)が亡くなったり、所定の高度障害状態になったりしたときに保険金が支払われる商品です。生命保険会社や保険の代理店、銀行などで加入できます。
貯蓄性を持つ生命保険は、資産運用の手段として活用できます。
たとえば、死亡と高度障害に一生涯備えられる「終身保険」は、保険料払込期間終了後に解約をすると、既払い保険料よりも多い解約返戻金を受け取れる場合もあります。万一に備えながら資金を準備したい人は、終身保険が主な選択肢となるでしょう。
ほかにも教育資金を積み立てられる「学資保険」や、契約時に決めた年齢になると年金を受け取れる「個人年金保険」などがあり、運用目的に合った商品を選べます。
また、生命保険に加入して保険料を支払うと「生命保険料控除」という税の優遇措置を受けて、所得税や住民税を軽減できる可能性があります。
生命保険の主な注意点は、元本割れのリスクがあることです。加入してから短期間で解約をすると、受け取れる解約返戻金がそれまで払い込んだ保険料を下回るかもしれません。
加えて保険会社が倒産したときは、生命保険契約者保護機構により契約者が保護されるようになっていますが、保険金や解約返戻金が減ってしまう場合があります。
債券は、国や地方公共団体、企業などが、投資家からお金を借りるときに発行する証書です。銀行や証券会社などの金融機関、郵便局で購入が可能です。債券には、国が発行する「国債」や企業が発行する「社債」などの種類があります。
債券の発行元は、投資家に対して利子を支払い、償還日になると元本を返します。購入後は、基本的に償還日を待つだけであり、定期的に利子を受け取れるため、資産運用の初心者でも始めやすいでしょう。償還日が来る前に債券を売却して、利益を得ることも可能です。
一方で、債券を発行する国や地方公共団体、企業などが償還日を迎える前に破綻した場合、利息や元本の支払いが滞るリスクがあります。債券を購入するときは、発行元の財政や業績を確認し、満期を迎える前に経営破綻するリスクがないか検討することが大切です。
投資信託は、投資家から集めた資金を、運用のプロが株式や債券などに投資して運用する金融商品です。その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配されるしくみです。証券会社や銀行、郵便局などで購入できます。
投資信託の主なメリットは、数百円や数千円から始められる点です。また、投資家が出資したお金は1つの大きな資金としてまとめられ、ファンドの運用方針にしたがい、複数の銘柄や対象で運用されます。これは投資家からすると、少額で複数の国や銘柄に分散投資できることになります。
ただし、投資信託には元本保証がありません。投資先の商品の値動きによっては損失が発生する可能性があります。加えて、購入時手数料や信託報酬などのコストがかかるため、よく確認したうえで投資をしましょう。
株式は、株式会社が資金を調達するときに発行する有価証券です。証券会社で証券口座を開設すると、取引できます。株式を所有している人(株主)は、株主総会で発言をしたり重要な決議に投票したりできる権利を持ちます。
株式投資の主なメリットは、購入した株式の株価が大きく上昇すれば、大きなリターンを得られる可能性がある点です。リスクを取ってでも大きなリターンを狙いたい人は、株式投資が向いていると考えられます。
また、投資先の企業が利益を得たときに、配当金を受け取れることがあります。株主に自社製品や優待券などを提供する株主優待を受けられる場合があるのも、株式投資の特徴です。
ただし、投資先の企業の業績が悪化すると、株価が大きく値下がりするかもしれません。また社会情勢や市場動向などの要因で、株価が下がることもあります。株式投資で利益を得るためには、さまざまな情報をもとに企業の業績や市場の動向を分析する能力が必要です。
金投資は、実物資産である金に投資をすることです。金貨や金地金(金塊)などの現物を購入する方法や純金積立、投資信託の購入など金投資の方法はさまざまです。現物の金は、地金商や宝飾店、投資信託は証券会社や銀行などで購入できます。
金は、人工的に作り出せず埋蔵量も決まっているため、信用度が高く世界中のどこでも換金が可能です。また、景気の影響を受けにくく、急激な景気後退や戦争などが起こると価格が上昇しやすいため「有事の金」とも言われています。
もしものときに備えて現物資産を持っておきたい人は、金投資をするのも選択肢の1つです。
一方で現物の金に投資をしても、株式や債券とは異なり利息や配当などを生みません。現物の金を保有していると、盗難や紛失のリスクがあるのも金投資の注意点です。
不動産投資は、アパートやマンションなどの賃貸不動産に投資をして家賃収入を得る運用方法です。不動産会社を通じて、マンションの1室や物件をまるごと1棟購入して始めます。
不動産投資は、需要があるエリアの物件に投資をできれば、毎月安定した家賃収入が期待できます。給与や年金など以外に収入源を持ちたい人は、不動産投資をするのも選択肢の1つです。
また、金融機関から不動産投資ローンを借り入れることができれば、自己資金以上の物件に投資ができ、より高いリターンが期待できるのも不動産投資の魅力です。
一方で不動産投資は、空室が発生すると家賃収入が減少します。また、地震や台風などで建物や設備が損害を受けると、修繕費用や立て替え費用が発生する場合があります。
このように不動産投資をする場合は、さまざまなリスクに対処しなければなりません。
資産運用を始めたいと考えているものの、失敗が怖いという人も多いのではないでしょうか。
そこで、資産運用の失敗を防ぐために初心者が意識するとよいポイントを4つご紹介します。
最初からまとまった資金を投じることに抵抗がある人は、少額から投資できる資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。投資額が100円や1,000円などの少額であれば、損失が発生しても小規模で済みます。
たとえば投資信託であれば、金融機関によっては数百円や数千円程度で購入が可能です。また、株式投資にチャレンジしてみたい方は「単元未満株」に投資する方法があります。
国内企業の株式は、1単元(=100株)ごとの取引となります。そのため1株2,000円の企業に投資をする場合、20万円の資金が必要です。
単元未満株を取り扱っている証券会社であれば、国内株式を1株から購入できるため、少額から株式投資を始められます。
資産運用で利益を得るためには、安く購入して高く売ることが重要です。とはいえ、経験者であっても金融商品の値動きを正確に予想するのは困難です。資金を一度に投じると、商品を購入した後に価格が下落する“高値づかみ”のリスクが高まります。
そこでおすすめしたいのが「ドルコスト平均法」を用いた積立投資です。ドルコスト平均法は、価格が変動する金融商品を決まったタイミングと金額で定期的に買い続ける方法です。
購入金額を一定にすると、価格が低いときの購入量は多くなり、価格が高いときの購入量が少なくなるため、商品の購入単価が平準化され高値づかみを避けやすくなります。
また長期間をかけて投資をすると「複利効果」が大きくなる可能性があります。複利効果とは、投資で得られた利益を再度投資に回すと、資産が雪だるま式に増えていくことです。資産運用を早く始めて運用期間が長くなるほど、複利の恩恵を受けやすくなります。
投資の格言に「卵は1つのカゴに盛るな」というものがあります。これは、卵を1つのカゴにすべて持っていると、落としたときにすべての卵が割れてしまうため「複数のカゴに分けておくべき」という意味です。
つまりは特定の商品のみに集中投資をするのではなく、複数の商品に分散投資をしてリスクを抑えることが大切です。
たとえば100万円の投資資金を株式Aのみに投資した場合、銘柄が値下がりすると、保有資産も減ってしまいます。そこで株式Aと株式Bに50万円ずつ投資した場合、株式Aが値下がりしても、株式Bが値上がりしていれば保有資産全体の減少を防げます。
資産運用をする際は、株式と債券、国内と国外など、複数の投資対象に分散投資をしてリスクを抑えることが重要です。少額から分散投資をするのであれば、投資信託を購入する方法があります。
資産運用で利益を得ると、税金がかかることがあります。たとえば株式投資をして配当金を得たり、投資信託を売却して利益を得たりすると20.315%の税金がかかります。
そこで活用したいのが、運用益が非課税となる制度である「iDeCo」や「NISA」です。
iDeCoは、個人型確定拠出年金です。自分自身で掛金を拠出して、投資信託や保険、定期預金などの運用先を指定して、年金資産を積み立てていきます。運用益が非課税となるだけでなく、掛金と同額が所得から控除されるため、所得税や住民税の節税効果が期待できます。
NISAは、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる制度です。「一般NISA」や「つみたてNISA」などの種類があります。
一般NISAは、株式や投資信託などの運用で得られた利益が、最長5年間にわたって非課税となる制度です。非課税投資枠は、年間120万円であるため、ある程度まとまった資金の運用に向いています。
つみたてNISAは、積立投資に特化した非課税制度です。非課税投資枠は年間40万円、非課税期間は最大20年となります。対象商品は「販売手数料が無料」「信託報酬が一定水準以下」などの条件を満たした商品に限定されているため、初心者でも投資先を選びやすいでしょう。
資産運用にはさまざまな注意点がありますが、その中でも特に初心者が知っておきたいものを2つ解説します。
資産運用を始めるときは「老後資金を貯めたい」「教育資金を準備したい」など、運用の目的を決めましょう。
運用目的をもとに、目標金額やそれを達成するための運用期間を決めることで、自分自身のリスク許容度がより明確になり、運用方法や商品を選びやすくなります。
たとえば、短期間で数千万円の資金を準備するのであれば、株式投資をはじめとしたリスクが高い運用方法を選ぶ必要があります。一方で、運用期間が20年や30年などの長期間にわたるのであれば、預貯金や生命保険、投資信託なども選択が可能でしょう。
これから資産運用をしようと考えている方は、運用方法を選ぶ前に運用目的や目標金額、運用期間を考えることが大切です。
預貯金以外の資産運用は、余剰資金でおこなうようにしましょう。余剰資金とは、簡単にいえば当面のあいだ使う予定のないお金のことです。
日常の生活費や、収入が途絶えたときに生活をするためのお金(生活防衛資金)まで資産運用に回すと、値動きが気になって生活や仕事に支障が出るかもしれません。もしも損失が発生したら、精神的に大きなダメージを負う恐れがあります。
預貯金以外の資産運用は、多少減ってしまっても生活に影響がない資金を用いておこなうことが大切です。
資産運用には、預貯金や生命保険、債券投資、投資信託、株式投資などさまざまな種類があります。運用目的を考えたうえで、それぞれの特徴やリスクを理解し、自分自身に合った方法を選んで資産運用をはじめることが大切です。
七十七銀行では、個人向け国債や投資信託などの資産運用のご相談を承っております。どの方法で資産運用を始めたらよいのか、またどの商品を選べばよいのかお悩みの方は、ぜひお近くの七十七銀行の窓口へご相談ください。
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これから投資信託をはじめる方へ
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https://sasp.mapion.co.jp/b/the77bank/【参考サイト】
金融庁
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/overview/index.html※この記事は2022年6月現在の情報を基に作成しています。
今後変更されることもありますので、ご留意ください。