教育ローンとは、一般的に高額と言われる子どもの教育資金を準備できるローンです。借り入れたお金は、借入先が指定する範囲内であれば、入学金や授業料、塾の月謝などさまざまな費用の支払いに充てられます。
教育ローンの利用を検討する際は、種類や奨学金との違い、メリット、デメリットを理解することが重要です。
本記事では、教育ローンの特徴や奨学金との違い、商品を選ぶ際のポイントをわかりやすく解説します。
目次
教育ローンは、子どもの授業料や入学金などを支払うための資金を賄えるローンです。借入と返済をするのは、保護者となります。
子どもの教育にかかるお金は、一般的に高額と言われています。日本政策金融公庫の調査によると、高校に入学してから大学を卒業するまでにかかる教育費の平均は942.5万円です。
※出典:日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果令和3年度」
特に大学への進学時は、入学金や初年度の授業料、受験料などの支払いが重なるため、まとまった資金が必要となります。また、進学後は授業料を毎年支払わなければなりません。親元を離れて通学する場合は、下宿先の敷金や礼金、家具・家電の購入費用なども必要でしょう。
コツコツと教育資金を準備していたとしても、志望校の変更や入試の合否によっては、資金が不足することがあります。そこで役立つのが教育ローンです。
教育ローンには「国が運営しているもの」と「銀行や信用金庫などの金融機関が取り扱っているもの」があるため、それぞれの特徴を理解して借入先を選びましょう。また「奨学金」と教育ローンの違いも理解し、ご自身や家族の状況に合った選択をすることが大切です。
国が運営する教育ローンと金融機関が取り扱う教育ローンの主な違いは、以下のとおりです。
国の教育ローン(教育一般貸付) | 金融機関の教育ローン | |
---|---|---|
利用できる人 | 子どもの人数に応じて設定される世帯年収が一定金額以下である人 | 年齢や年収など金融機関が定める要件を満たした人 |
金利 | 固定金利 | 主に変動金利 ※金融機関によっては固定金利も選択が可能 |
借入期間 | 15〜18年以内 | 10〜15年程度 |
借入上限額 | 350万円 ※所定の要件を満たす場合は450万円 |
金融機関によって異なる |
国の教育ローンに申し込めるのは、前年の世帯年収が子どもの人数に応じて決まる上限額を超えていない世帯です。上限額は、子どもが1人の場合は790万円、2人の場合は890万円であり、扶養している子どもの人数が1人増えるごとに100万円ずつ増えていきます。
※子どもの人数が2人以内の場合、所定の要件を満たすと上限額が緩和されます。
金融機関の教育ローンは、年齢や年収などが所定の要件を満たしていれば、申込が可能です。そのため、世帯年収が国の教育ローンの上限額を上回っていたとしても、金融機関の教育ローンであれば借入できる可能性があります。
国の教育ローンが固定金利であるのに対し、金融機関は基本的に変動金利となる点も主な違いです。固定金利は、返し終わるまで金利が変わらないタイプです。変動金利は、市場の金利にあわせて定期的に金利が見直されるタイプを指します。
奨学金と教育ローンの主な違いは、以下のとおりです。
教育ローン | 奨学金 | |
---|---|---|
申込をする人 | 親(保護者) | 子ども |
申し込むタイミング | 年間を通じていつでも利用可能 | 申請の期間が決まっている |
借り方 | 一括または都度借入 | 毎月定額を振り込み |
返済が始まるタイミング | 借入をした翌月 | 卒業をした後 |
教育ローンは借入をした後、親(保護者)が返済をしていきます。一方で、奨学金の場合、借入をする人と返済する人は学生である子どもです。世帯状況や子どもの成績によっては、返還が不要である給付型の奨学金を利用できる場合があります。
教育ローンは進学前だけでなく、進学した後も年間を通じていつでも申込ができますが、奨学金は所定の期間内に申し込みをしなければなりません。
また、教育ローンの場合、借入金を入学前に受け取れます。金融機関によっては、在学中に必要となるタイミングで都度借入れることも可能です。対して、奨学金は入学した後に指定の口座に毎月振り込まれます。
続いて、金融機関が取り扱う教育ローンのメリットとデメリットをみていきましょう。
教育ローンを利用する主なメリットは、以下のとおりです。
それぞれを解説します。
貸与型の奨学金を借り入れた場合、返済をするのは卒業した後の子どもです。しかし教育ローンの場合、借入金の返済義務があるのは申込をした親であるため、奨学金とは異なり子どもは返済義務を負いません。
教育ローンであれば入学する前にまとまった金額を用意できるため、入学金や下宿先の敷金・礼金などの支払いにも充てられます。教育ローンは、早いケースでは申し込み後、数日~10日程度で借入金を受け取れるため、早急に資金を準備できます。
授業料だけでなく、1人暮らしをするためのアパートの家賃や教科書代、入学受験のための塾に通う費用などを支払うための借入も可能です。ただし金融機関によって利用目的などの条件は異なるため事前に確認しておきましょう。
教育ローンの主なデメリットや注意点は、以下のとおりです。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
教育ローンは奨学金と比較して金利が高い傾向にあります。借入金額が同じである場合、返済総額は奨学金よりも教育ローンのほうが多くなるでしょう。計画的に借入をしないと、返済負担が重くなり家計を圧迫するかもしれません。
教育ローンの審査では年収や雇用形態、勤続年数などが確認されるため、収入が不安定な人や勤続年数が短い人は、教育ローンを借り入れできない可能性があります。
教育ローンを借り入れると、ほかのローンやクレジットカードの審査に影響することがあるのは、借金があると返済能力が低いと評価されてしまうことがあるためです。教育ローンの借入額が大きいと、ほかのローンやクレジットカードの審査で不利になる恐れがあります。
借入先によって、教育ローンの商品内容が異なるため、よく比較して選ぶことが大切です。ここでは、教育ローンを選ぶときに確認するとよいポイントを6つ紹介します。
教育ローンを申し込めるのは、所定の条件に該当する人です。金融機関の場合は、年齢や勤続年数、年収などが一定の基準を満たしている必要があります。
たとえば、申込条件に「勤続年数2年以上」が含まれていた場合、勤続年数が1年である保護者は申し込めません。
申込条件の内容や厳しさは借入先によって異なるため、よく確認して借入先を選ぶことが大切です。
金利の値で返済負担は変わるため、教育ローンの借入先を選ぶ際は金利をよく確認・比較をすることが重要です。
金融機関の多くは、ホームページや店頭に金利の上限値と下限値を表示しています。実際の借入金利は、金融機関の審査によって決まるため、必ず下限値が適用されるとは限りません。そのため、上限値も確認して借入先を選びましょう。
また、取り扱っている金利タイプも、借入先を選ぶ重要なポイントです。
変動金利は、借入時の金利が低い傾向にある一方、返済途中で金利が変わるリスクがあります。将来的に金利が上昇すると、毎月の返済負担が増えて家計が苦しくなるかもしれません。
固定金利は、完済まで金利が上昇する心配はありません。しかし、金融機関が取り扱う固定金利は借入時の金利が高いだけでなく、選択肢も少ないです。
変動金利と固定金利それぞれの特徴を理解したうえで、ご自身に合った金利タイプを選択しましょう。
教育ローンは、基本的にどこを選んでも必要資金を一括で借り入れることができますが、中には必要なタイミングで都度借入ができる場合もあります。
たとえば、必要な金額がわからない人や、急な支出に対応したい人は、カードローン型の教育ローンを取り扱う金融機関を選ぶ方法があります。カードローン型であれば、必要なときにATMで必要な分だけを借り入れることが可能です。
教育ローンの借入先を選ぶ際は、希望する借入方法が選べるかどうかを確認しましょう。
教育ローンで借りたお金の使い道は、子どもの教育に関連した支出に限定されますが、対象となる範囲は借入先によって異なります。
たとえば、借入金を入学金や授業料だけでなく、予備校・塾の月謝や下宿・アパートの家賃、教科書代、留学費用などの支払いに充てられる場合もあります。
希望する支払いに借入金が充てられるかどうかを確認することで、借入先の候補が絞りやすくなるでしょう。
教育ローンの借入期間や据置期間の有無は、借入先によって異なります。借入期間は、借り入れた教育ローンを返済する期間です。据置期間とは、元金は返済せずに利息のみを支払う期間のことを指し、元金据置型を選んだ場合にあります。
たとえば、元金据置型の教育ローンで返済期間が10年、据置期間が4年である場合、返済開始から4年は利息のみを支払い、残りの6年で元金と利息を支払います。
返済期間を長くするほど、毎月の返済額は少なくなります。また、据置期間を設定すると、一定期間の支払いを利息のみにして、返済負担を抑えることが可能です。
ただし、返済期間を長くしたり据置期間を設定したりすると、利息総額が増えて返済の総額は大きくなります。子どもが進学した後だけでなく、卒業後のライフプランも考慮したうえで返済計画を立て、それが実現できる借入先を選ぶとよいでしょう。
団体信用生命保険は、ローンの契約者が亡くなったときに、保険金でローンが完済される保険のことです。金融機関が取り扱う教育ローンの多くは、借入金利に年0.3%程度が上乗せすることで、団体信用生命保険に加入することができます。
自分自身に万が一のことがあったとき、家族に教育ローンの返済義務を残したくない方は、団体信用生命保険を付けられる教育ローンを選ぶのも方法です。
一方で、団体信用生命保険を付けると金利が上乗せされるため、返済負担が増えます。万が一の保障を重視したい人は、団体信用生命保険の有無や上乗せ金利の値を比較して借入先を選ぶとよいでしょう。
では、教育ローンはどのような流れで申し込むのでしょうか。必要書類とともに確認していきましょう。
教育ローンを申し込む一般的な流れは、以下のとおりです。
まずは、窓口やインターネットで教育ローンを申し込みましょう。国の教育ローンと金融機関の教育ローンでは、以下のとおり申込窓口が異なります。
申込窓口 | |
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国の教育ローン |
|
金融機関の教育ローン |
|
教育ローンの申し込みが完了すると、一定期間が経過した後に審査結果が通知されます。審査に通過した後は、窓口や郵送、インターネットなどで教育ローンの契約を結びましょう。
契約を結ぶと、指定の口座に融資金が振り込まれます。教育ローンの申し込みから入金までの期間は借入先によって異なりますが、一般的には数日〜10日ほどです。
教育ローンを申し込む際に必要となる書類は、以下のとおりです。
必要書類 | |
---|---|
国の教育ローン |
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金融機関の教育ローン |
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上記以外にも、書類の提出を求められることがあります。
また、金融機関の必要書類は、あくまで一例です。金融機関によって、申し込み時の必要書類は異なるため、事前に確認しておきましょう。
教育ローンを申し込む際は多くの書類が必要となるため、事前に確認のうえ早めに収集を開始すると良いでしょう。
教育ローンは、子どもの教育資金を準備する際に役立つローンです。借入先によっては、借入金を入学金や授業料だけでなく、下宿先の家賃や教科書代などの支払いにも充てられます。
教育ローンの借入先を選ぶときは、申込条件や金利、借り方、借入金の使い道などを比較するとよいでしょう。
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※この記事は2022年12月現在の情報を基に作成しています。
今後変更されることもありますので、ご留意ください。